Q TACフィルムは何年位前まで使用されていたのでしょうか?
A TACフィルムは1993年で生産中止となり、以降PETフィルムが使用されるようになりました。在庫使用期間を2年ほど考
慮すると、TACフィルムが使用されていたのは1995年頃までと考えられます。
Q 保管環境が整っていない場合、TACフィルムは一般的な目安として何年くらいで劣化が発生するのでしょうか?
A 一般的に30年くらい経過すると、顕著な劣化症状が現れると言われています。
A PETフィルムでも湿度の管理は必要です。フィルムはベース層と画像膜層から構成されています。高湿度はベースのPET
には大丈夫でも、画像には良くありません。
JIS Z 6009:1994(銀-ゼラチンマイクロフィルムの処理及び保存方法)ではフィルム保管に適した温湿度は21℃以下、30~
40%に規程されています。
Q 劣化したTACフィルムとその他のマイクロフィルムを一緒に保管しても影響は受けないでしょうか?
A 劣化したTACフィルムとその他のマイクロフィルムは一緒に保管しない方がよろしいと思います。
劣化したTACフィルムが放出した酢酸は健全なTACフィルムの劣化を促します。(劣化の感染)
またPETフィルムは化学的にTACフィルムとは構造が違いますのでTACのような分解は起きませんが、画像にとっては酸性雰
囲気の中にあるのはよくありません。画素の酸化が懸念されます。
Q PETフィルムは劣化しないのでしょうか?
Aすべての物質は必ず劣化します。PETフィルムも例外ではありません。
私たちの生活する環境には、PETフィルムの劣化要因である紫外線、熱、水分、アルカリ、酸などがあることを念頭において
下さい。
ISOで規定している「期待寿命500年」は、あくまでも実験室内の強制劣化試験から得られたもので注意が必要です。
Q 1980~1990年代に収集したマイクロフィルムの今後の保存について基本的な対応策を教えてください。
A 1995年以降はPETフィルムに切り替わっているとみなせますが、1980~1990年代のものですと大半はTACフィルムである
ことが予想されます。
今後の保存の基本的対応についてはJIS Z 6009:1994(銀-ゼラチンマイクロフィルムの処理及び保存方法)より抜粋し紹介
いたします。
項目_11.定期検査
抽出計画を立て、2年に1回行うのが良い。異常が発見されたとき頻度、本数を増やす事。
検査項目:カビ、くっつき、変形、傷、膜面の剥離、変色、マイクロスコピックブレミッシュ(茶色斑点)、濃度低下、べとつき、酢酸臭
(当社例:調査項目として、ADストリップでの酸化度測定が有効)
Q マイクロフィルムの風通しの頻度について、目安として何年に一度行うのが望ましいのでしょうか?
A JIS Z 6009:1994(銀-ゼラチンマイクロフィルムの処理及び保存方法)より抜粋し紹介いたします。
1.酢酸の影響:処理後おおよそ30年を経過したものは3~5年毎に2.の手順に従って放散処置を行う。
2.放散の手順
1)臭いをかぐ
2)巻き返しをゆっくり行う
3)シートフィルムは容器・保護袋から出し空気に触れさせる
4)酸臭のあるものは解放容器に入れ通気性の良い場所へ移動する
出典:JIS Z 6009:1994(銀-ゼラチンマイクロフィルムの処理及び保存方法)「参考2」
Q 劣化したマイクロフィルムの取り扱い方法について教えてください。
A まずは専門家に相談をして劣化の度合いの程度を知る必要があります。
複製は出来る状態なのか、修復が必要なのかなど劣化の度合いによって、今後の対応、それに係る予算も変わってまいります
ので先ずは一度ご相談ください。
ご自分で確認される際は、べたついたフィルムなど無理に開いて破損したりしないようご留意ください。
Q マイクロフィルムのデジタル化について教えてください。
A マイクロフィルムから専用のスキャナーを使用して高精細の画像を提供いたします。
ファイル形式はTIFF、PDF、JPEGなどお客様のご希望に合わせて作製します。
弊社デジアカサイトにマイクロフィルムからデジタル化をした案件の事例を紹介しておりますので下記URLも併せてご参照く
ださい。
Q 重度に劣化したマイクロフィルムは直接スキャナーに通せないため、複製フィルムからスキャニングを行うとの事ですが
マイクロフィルムの在庫が無くなり次第、劣化したマイクロフィルムのデジタル化は不可能になってしまうのでしょうか?
A 現状ではマイクロフィルムが無くなり次第、重度に劣化したマイクロフィルムのデジタル化は不可能になります。
Q マイクロフィルムで保管する新聞をデジタル化する際のデータ容量について教えてください。
A 紙面の内容にもよりますが、ご参考までに弊社作業実績から算出したデータ容量を下記に記載します。
・約57MB 【仕様】サイズ:A2 解像度:400dpi 階調:グレースケール ファイル形式:TIFF
・約30MB 【仕様】サイズ:A3 解像度:400dpi 階調:グレースケール ファイル形式:TIFF
また、弊社デジアカサイト内のブログで下記の記事を紹介しておりますので併せてご参考ください。
Q マイクロフィルムのデジタル化を行う前の処置について教えてください。
A デジタル化の際の事前の処置につきましては以下の工程を行っております。
①デジタル化するフィルムの存在確認。(リスト等と照合)
②フィルムの劣化含む状態、撮影方法、コマ間の鮮明度、物理的な切れ目などがないかの確認。
③ほこりなどが確認できる場合はクリーニングを行う。
Q マイクロフィルム感材の販売が終了することになり、今後のマイクロフィルム事業について教えてください。
A 世界唯一のマイクロフィルム製造メーカーの富士フイルム社がマイクロフィルムの製造中止を発表した事により、今後新
たにマイクロフィルムを作製することはできなくなります。
Q マイクロフィルム感材の販売終了に向けて今後の対応策について教えてください。
A マイクロフィルムの新たな製造は無くなりますが、今お持ちのマイクロフィルムは残ることになります。
このマイクロフィルムの台帳を作成し、どのようなフィルムを保有しているか把握をして、必要なもの、優先されるものを選
別してせめてそれらだけでもPETフィルムへ移行することが大切だと思います。
台帳の主な(参考)項目は下記の通りとなります。
・資料タイトル
・作製年
・保存区分
・TAC or PET
・ネガ or ポジ
Q 重要(貴重)文書の保存方法として、マイクロフィルムに代わる媒体があるのか教えてください。
A 現状マイクロフィルムに代わる長期保存媒体は存在しておりません。
Q マイクロフィルムに代わる資料の保存方法について教えてください。
A 今後はデジタル画像を作製し、定期的に保存媒体のマイグレーションを行うなどの検討が必要になってまいります。
Q マイクロフィルム用の機材(消耗品)を販売している業者を教えてください。
A 弊社ではマイクロフィルムの保存ケア製品(酢酸吸着シート、乾燥剤)などを販売しております。
詳細は下記をご参照ください。
Q マイクロフィルムの銀鏡化が進んだ場合の弊害を具体的に教えてください。
A 銀鏡化は金属銀が酸化してイオン化したのち、再び還元してコロイド銀となって画像表面に移動したものと考えられま
す。
過去観察されたものは全て銀画像の上にあり、フィルムとして透過光で利用するうえでは支障なく、弊害は特にないと捉えて
います。
問題は金属銀が酸化するような環境が現在又は過去にあったという事です。
保管環境の見直しをお勧めいたします。
公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)
マイクロフィルム保存の手引き
東京大学経済学部資料室
図書館・博物館・文書館のためのマイクロフィルム保存ガイド
●こんな方はお気軽にご相談ください!
・マイクロフィルムが劣化している
・マイクロフィルムの電子化費用について詳しく知りたい
・マイクロフィルムを活用したい
・・・など!
お問い合わせ内容を確認後、
担当者よりご返信させていただきます。