【現場からお伝えします!】フィルムのデジタル化の方法と注意点を解説!
ニチマイには、フィルムのデジタル化専門の部署があります。その現場の責任者にフィルムのデジタル化についてお話を伺ってみることにしました。
現場ではどんなフィルムを扱って、どんなことに気を付けて作業を行っているのかお伝えします。
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デジアカ担当者:
今日はフィルムのデジタル化についてお話を伺います。どうぞよろしくお願いします。
フィルムのデジタル化とは?
デジアカ担当者:
当社はマイクロフィルムを取り扱ってきたので、フィルムのデジタル化というとマイクロフィルムからデジタル化、つまり、企業や行政の文書のデジタル化が多いというイメージを持っています。
技術責任者:
もちろん、マイクロフィルムをデジタル化するお仕事が多いのですが、それだけではありません。例えば、現在はマイクロフィルムのデジタル化の仕事も行うかたわら、マウントされたポジフィルム(スライドフィルム)のデジタル化の仕事も対応しています。
この部署では、フィルムの種類を問わずフィルム全般のデジタル化を行っているんです。
デジアカ担当者:
マイクロフィルム以外のフィルムとはどのようなものでしょうか。
技術責任者 :
先ほど申しあげたマウントされたポジフィルム(いわゆるスライド)や、スリップ型のネガフィルムなどです。
また、数はとても少ないですが大判のフィルムもデジタル化することもあります。
※4インチ×5インチのシートフィルムは、一般に使用される 35mmフィルム1コマの約13倍の面積となります。
スキャナーは透過原稿に対応したスキャナーを使います。透過原稿とは光を通したときに読み取りのできる原稿のことです。
透過原稿に適したスキャナー例
デジアカ担当者:
フィルムは光を通さないと読めませんものね。
フィルムをデジタル化する時の注意点
デジアカ担当者:
紙資料とは取り扱いがずいぶん異なりますね。
技術責任者:
先ほど申しあげたフィルムの種類が様々であることで、専用のフォルダーを使ったりします。
これらは、スライド用、4×5フィルム用、 スリップ用です。
フィルムがスキャナーのガラス面に直接触れるとニュートンリング(モアレ)が発生してしまうのです。このようなフォルダーを使用することでフィルム面をスキャナーのガラス面から浮かせることができ、ニュートンリング(モアレ)を防ぐことができます。
各種フィルム用フォルダー
左から、スライド用、4×5フィルム用、スリップフィルム用
ガラス乾板を取り扱ったことがありますが、落とすことのないよう取り扱いには細心の注意を払いました。また、形に合ったフォルダーが無かったため、代わりになるようなものを厚紙などで作成し、対応しました。
また、マイクロフィルムなどロールにまかれているフィルムが劣化しているとよれてしまって、リワインダーでひっくりかえってしまうこともありました。
フィルムのデジタル化はホコリとの戦い
デジアカ担当者:
フィルムならではの苦労があるのですね。
技術責任者:
何といってもホコリには一番苦労しています。
フィルムはとても小さいので、高階層度でデジタル化を行います。目に見えないくらいの小さなホコリがついていても、デジタル画像にはホコリも一緒に拡大されて画像化されてしまいます。
特にマイクロフィルムは、何が書いてあるかが重要なのでその可読性を意識します。16ミリのマイクロフィルムをA3相当に拡大すると24倍になってしまいますし、35ミリの場合は、10倍程度になってしまいます。
従って、できるだけホコリを除去してデジタル化を行っています。
デジアカ担当者:
なるほど。
技術責任者:
お客様から借用したフィルムは意外にホコリがついているのです。
保存用としてキャビネットなどに保管されてきたものはそうでもないのですが、閲覧用として利用されてきたものは、マイクロフィルムリーダーでみたり、スライドフィルムは投影機で閲覧されてしています。多分、そんなときにホコリがついてしまうのでしょうね。また、そういった利活用されているフィルムには傷も見受けられることもあります。
デジアカ担当者:
ここにあるものはホコリと戦う武器でしょうか?
技術責任者:
そうです!一応武器は持っています(笑)。
ベルベット素材の布、アクリル繊維のサンダーロン(アクリル繊維)、ホコリ払い用のブラシも使っています。
フィルムクリーナーも使用することがあります。
ホコリと戦う武器
フィルムのデジタル化で注意するべきことは?
デジアカ担当者:
フィルムのスキャンでの醍醐味ってどうでしょうか?
技術責任者:
大変貴重な資料を取り扱っているということでしょうか。
ここでは、何十年も前の貴重な資料を取り扱いますが、それらがデジタル化されてその利活用のためにお客様に納品されるのは、資料がまた蘇っていくという過程に携わらせていただいているのだなと再認識します。
古いフィルムでも保管状態がよく、お客様が大事にされていたことが伝わるものもあって、大事なものを扱わせていただいているのだなと肝に銘じております。
デジアカ担当者:
なんだかドキドキしますね。
フィルムのデジタル化を行うメリット
技術責任者:
こういった作業を行う立場の視点から、フィルムのデジタル化のメリットを申しあげますと、
マイクロフィルムの場合ですが、それらは原資料の複製として作成されています。マイクロフィルムからデジタル化するということは、原資料を借用する必要がありません。
従って、そこに生じる原資料へのインパクトを全て抑制できます。
例えば、原資料を運んだりする必要がありません。マイクロフィルムにしたときに既にコンパクトになっていますので、その点からすると運びやすい利点もあり作業がしやすいと考えられるのではないでしょうか。
もちろん、デジタル化する際にそのマイクロフィルムを超えることはできませんので、原資料をカラーで撮り直したいなどとなればそれはかないません。あくまでも目的に応じて変わってはくると思いますが。
デジアカ担当者:
原資料に忠実にデジタル化を行う視点で物事を考えがちですが、マイクロフィルムのように既にコンパクトになっているものからデジタル化を行うという現場ならではメリットもよくわかりました。
また、スライドやネガフィルムからのスキャンは、写真の貼ってあるアルバムからのスキャンよりもデジタル化しやすいような気がします。
ただし、保存状態にもよるので場合によっての提案にはなるとは思いますが、営業やマーケッターの視点だけではないものが得られました。ありがとうございました。
まとめ
現場にインタビューをさせていただき、現場の視点から学ぶことができたと思います。最後に本日のまとめです。
・フィルムの種類は多種多少でそれに合わせてデジタル化作業の方法は異なる。
・透過原稿のデジタル化が可能なスキャナーを使う。
・フィルムのデジタル化はホコリに対して細心の注意を図る。
フィルムのデジタル化においては、専用の機材や道具が必要です。ご相談がありましたらぜひニチマイへお問い合わせください。
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参考事例:
資料のデジタル化サービスとは?