失敗しないデジタル化のために知っておきたい仕様書の基本
資料のデジタル化作業を行う際、仕様書は最も欠かせない文書と言えます。
仕様書とは、作業に関する決めごと(ルール)を詳細に記載した文書であり、デジタル化などの作業は基本的に仕様書に沿って進められることになります。
仕様書の記載内容に不備があったり、あいまいな表現をしている仕様書であった場合、せっかくのデジタル化作業が失敗してしまう可能性が高くなります。
特に作業を専門業者などに委託する場合、委託業者は仕様書どおりに作業を進めることになりますので、必要な事項は漏らさず記載しておく必要があります。
今回は資料のデジタル化作業を専門業者に委託する際の仕様書について、実際の仕様書の構成をご覧いただきながら、最低限押さえておきたい基本のポイントを項目ごとにご紹介します。
目次[非表示]
資料のデジタル化作業仕様書の構成
資料のデジタル化作業の仕様書は、一般的に次のような構成となります(一例です)。
①基本内容
件名、目的、作業概要、対象資料及び数量、納期、成果物、受託者要件など
主に作業に関する基本的な要件を記した項目となります。
委託者及び受託者がまず把握しておかなければならない内容を記載するかたちとなります。
②作業内容
作業前協議及び資料の貸与、資料の運搬及び保管、使用機材、画像データ仕様、デジタル化作業、検査、画像データ変換、編集、格納、成果物作製など
主に各作業内容を詳細に記した項目です。
作業に求められる要件を詳しく記載するかたちとなります。
③その他
サンプルデータ作製、作業進捗報告、疑義管理、契約不適合責任、守秘義務など
主に作業の詳細仕様にはない要件について記載するかたちとなります。
それでは、項目ごとに記載しておくべき内容について詳しく見ていきましょう。
(1)基本内容
1.件名
⇒一般的に作業内容が分かりやすく簡潔な件名が望ましいです。
2.目的
⇒作業の目的を記載。
3.作業概要
⇒作業の概要を記載。
4.対象資料及び数量
⇒資料名称、数量(何冊など)、資料形状(サイズや状態など)、画像データ作製予定数量(何コマ予定)などを記載します。
5.納期
⇒納期(何年何月何日)を記載
6.成果物
⇒作製する画像データ(TIFFやPDFなどの形式も記載)、納品媒体(外付けHDDなど)、作業報告書、検査報告書などの納品物を詳細に記載します。
7.受託者要件
⇒受託者に求める各要件を記載します。
・主たる業務の再委託禁止
・作業実績
・ISO認証など各種資格(ISO9001、ISO27001及びプライバシーマーク取得、文書情報管理士1級以上の有資格者が従事することなど。)
・貸与された資料を安全に保管する耐火式保管庫の保有
・受託者施設内のセキュリティ設備や防火設備など
安全なデジタル化作業を行ってもらうよう委託するには、上記要件は欠かせないものとなります。
資格認定証や実績がわかる書類(契約書の写しなど)、設備の証明書類などの提出を要件に盛り込むことで、より安全な委託業者に依頼することが可能となります。
(2)作業内容
1.作業前協議及び資料貸与
⇒委託者と受託者の協議の実施、作業計画書の提出、資料の貸与方法などについて記載します。
2.資料の運搬及び保管
⇒作業場所である受託者施設へ資料を運搬する際の条件(宅配便等は利用せず専用車両での運搬とするなど)、作業時間外は資料を耐火式保管庫で保管することなどといった要件を記載します。
3.使用機材
⇒デジタル化作業に使用するスキャナーなどの機材要件を記載します。
デジタル化作業の対象資料は経年劣化により紙力が落ちている資料が含まれることが多いため、できるだけ資料への負荷を軽減できる原稿上向き式スキャナーなどを使用することとし、自動ページめくり機能のスキャナーは不可とするなど、資料の安全を確保するために重要な項目となります。
4.画像データ仕様
⇒認識サイズ(資料原寸など)、画像形式(TIFFやPDFなど)、解像度(400dpiなど)、諧調(24bitフルカラーなど)などを明確に記載します。
5.デジタル化作業
⇒デジタル化作業前に行うべきこと(資料とリストの照合、資料状態確認、作業に支障を及ぼす可能性のある事象の確認と報告など)、デジタル化作業の方法(作業者要件、機材の性能テスト、カラーチャートやスケールの置き方、見開きで撮影、大型資料の撮影方法など)について詳細を記載します。
6.検査
⇒作製された画像データについて行う検査要件を記載します。
撮り漏れ、文字などの判読性、画像の欠け、傾き、ピンボケ、色の再現性など、仕様の要件を満たしているか検査する項目を記します。
検査はデジタル化作業の中でも特に重要な項目と言えますので、要件については細かく記載することが求められます。
7.画像データ変換、編集、格納、成果物作製
⇒作製された画像データのフォーマット変換(PDF変換など)、ファイルネーム規則及びフォルダの構成、納品媒体への格納方法、画像データの他に必要となる成果物(検査報告書、ウイルスチェック結果など)を記載します。
(3)その他
1.サンプルデータ作製
⇒事前にサンプルデータを作製し提出することで、委託者と受託者で成果物(作製される画像データ)に関してのイメージや品質などの共通認識をもつことができます。
2.作業進捗報告
⇒委託者はあらかじめ計画されたスケジュールに沿って受託者が作業を進行しているか把握することができ、進行に遅れが生じている場合には早めの対処が可能となります。
3.疑義管理
⇒仕様書上には記載されていない事象の対処など、デジタル化作業では頻繁に確認事項が発生することがあるため、疑義管理の方法についてあらかじめ決めておくことでスムーズな対処が可能となります。
4.契約不適合責任
⇒納品された成果物が仕様書に適していないことが判明した場合、決められた期限内で受託者の責任において成果品の再作製を求めることができます。
5.守秘義務
⇒受託者が業務において知り得た様々な情報や作製された画像データなどについて、守秘義務を課すことにより第三者へ流出することを防ぎます。
まとめ
今回は資料のデジタル化作業で必要となる仕様書の基本についてポイントとなる項目をご紹介しました。
ご紹介しました構成や内容はあくまで一例となりますので、ポイントを押さえてある仕様書であれば様々でかたちで構わないと思います。
これからデジタル化を始めたいけれど、どのような仕様書を作成すれば良いか分からないといった方に少しでも参考になれば幸いです。
当社では各種仕様書サンプルも提供しておりますので、よろしければ資料ダウンロードいただければと思います。
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