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マイクロフィルムの電子化とは? 必要性とメリット

マイクロフィルムとは、紙媒体の資料や歴史公文書、図面などを保存しやすくするために、原本よりも縮小撮影して記録された媒体のことです。

マイクロフィルムは、官公庁・自治体・民間企業・図書館などにおける資料保管の手段として、長年広く利用されてきました。しかし、不適切な環境での保存や経年によって劣化していく問題があります。

重要な情報資産となるマイクロフィルムの劣化や破損を防ぐためには、電子化して保存・管理することが有効です。

情報資産の適正な管理に向けて、マイクロフィルムの電子化を検討しているものの「どのようなメリットが期待できるのか」「どのような方法で電子化するのか」などと疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

この記事では、マイクロフィルムの電子化に関する基礎知識と電子化の必要性、メリットについて解説します。


目次[非表示]

  1. マイクロフィルムの電子化とは
  2. マイクロフィルムを電子化する必要性
  3. マイクロフィルムを電子化するメリット
    1. ①マイクロフィルムへのダメージの軽減
    2. ②検索性・閲覧性の向上
    3. ③セキュリティの向上
    4. ④データのバックアップ
  4. マイクロフィルムの電子化の活用例
    1. データベースの運用
    2. デジタルアーカイブの構築
  5. まとめ


マイクロフィルムの電子化とは

マイクロフィルムの電子化とは、マイクロフィルムを専用スキャナーで取り込んで、保存されている情報をPDFや画像ファイルなどに電子化することです。

主に以下のような種類があります。


▼マイクロフィルムの種類

  • ロールフィルム
  • マイクロフィルムジャケット
  • マイクロフィッシュ
  • アパーチュアカード


マイクロフィルムの種類


マイクロフィルムは長期保存に優れている記録媒体ですが、経年劣化によって破損したり、災害によって紛失したりするリスクがあります。

電子化することで情報資産を円滑に閲覧・共有しやすくなるほか、災害時のバックアップとしても役立てられます。



マイクロフィルムを電子化する必要性

マイクロフィルムは、湿度・温度といった保存環境や素手での作業、セロハンテープを使用した修復などの不適切な取り扱いによって、劣化してしまいます。劣化が進行すると、復元が困難になったり、情報が破損したりするリスクがあります。

マイクロフィルムに保存されている情報資産を閲覧・利用できなくなることを防ぐには、電子化による保存が必要です。以下のような劣化の兆候が見られる場合や、それ以前の対策として、電子化を検討することが重要です。


▼マイクロフィルムの劣化でよくみられる兆候

  • マイクロフィルムから酢酸臭がする
  • フィルムの形状が波打っている
  • べたつき、もしくは白い粉が発生している


また、デジタル技術の進展に伴い、政府をはじめとする公的機関でデジタル化が進められている背景からも、マイクロフィルムの電子化が必要とされています。



マイクロフィルムを電子化するメリット

マイクロフィルムを電子化すると、劣化による破損を防げるだけでなく、さまざまなメリットがあります。


①マイクロフィルムへのダメージの軽減

1つ目のメリットは、マイクロフィルムへのダメージを軽減できることです。

マイクロフィルムを電子化すると、電子データでの利活用が中心となるため、保有しているマイクロフィルムを保存用媒体として保管できます。日常活用する機会がなくなることで、キズや汚れの付着を防ぎ、ダメージの軽減につながります。


②検索性・閲覧性の向上

2つ目のメリットは、検索性・閲覧性の向上です。

マイクロフィルムに保存した情報を電子化すると、キーワード検索やソート機能などを用いて、目的の資料をすばやく探し出すことが可能です。関係者との共有がスムーズになることで、情報の利活用促進や情報収集の効率化が期待できます。


③セキュリティの向上

3つ目のメリットは、セキュリティの向上です。

電子化したデータを利用することで、マイクロフィルムの持ち出しによる情報流出や紛失のリスクを軽減できます。また、データの閲覧・編集制限やログ管理などを行うことによって、データの漏洩、不正アクセスなども防止できます。

これにより、資料管理のセキュリティが向上して、貴重な情報資産を守ることにつながります。


④データのバックアップ

4つ目のメリットは、データをバックアップできることです。

災害による破損や劣化によってマイクロフィルムを閲覧できない状態となっても、データとして保存された情報を閲覧できるようになります。

重要な資料や歴史公文書などの情報が消失してしまうリスクを防いで、長期にわたって引き継ぐことが可能です。



マイクロフィルムの電子化の活用例

マイクロフィルムを電子化すると、情報資産の共有や外部への公開などのさまざまな活用が期待できます。ここでは、主な活用例を紹介します。


データベースの運用

保管しているマイクロフィルムを電子化して、PDFや画像ファイルなどに変換することで、パソコン・スマートフォンなどからデータを閲覧できるようになります。

電子化した情報資産をデータベース化すれば、企業や自治体における内部での情報収集・検索などを行いやすくなり、データの利活用を促進できます。


デジタルアーカイブの構築

電子化した貴重書や重要文書などを集約した“デジタルアーカイブ”を構築する活用方法もあります。デジタルアーカイブとは、自治体や図書館、民間企業などが保有する情報資産を電子化して共有・公開する仕組みです。

デジタルアーカイブを構築して、電子化したデータをアップすることで、情報資産の一元管理ができるようになります。

また、企業・組織の歴史資料をまとめて管理したり、図書館・博物館・美術館などの文化的施設での作品や貴重書を一般ユーザーに公開したりすることが可能です。

なお、デジタルアーカイブについては、こちらの記事で解説しています。

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まとめ

この記事では、マイクロフィルムの電子化について以下の内容を解説しました。


  • マイクロフィルムの電子化に関する基礎知識
  • マイクロフィルムを電子化する必要性
  • マイクロフィルムを電子化するメリット
  • マイクロフィルム電子化の活用例


マイクロフィルムを電子化すると、本体へのダメージを軽減できるほか、検索性・閲覧性の向上やセキュリティの向上、情報資産の保護などのメリットがあります。

デジタル技術の進展に伴い、公的機関をはじめとするあらゆる組織でデジタル化が進められており、その一部としてマイクロフィルムの電子化も挙げられます。

貴重な情報資産の利活用を促進して、次世代に引き継ぐために、電子化して管理することをおすすめします。

デジアカ』では、マイクロフィルムの電子化を承っております。マイクロフィルムの特性(形態、撮影縮率、濃度、解像力など)と、劣化状態やゴミの付着状態などを考慮しながら、高品質なデジタル画像を作製します。

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なお、紙媒体の資料を電子化するメリットについてはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。

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