デジタルアーカイブを活用しよう! 導入のメリット・デメリットと活用事例
官公庁・自治体・民間企業などの団体や、博物館・図書館・美術館などの文化的施設では、さまざまな有形・無形の情報資産が取り扱われています。
多種多様な情報資産がさまざまな目的で活用されることで、社会の活性化や新たなイノベーション創出などにつながると期待されています。そこであらゆる分野で活用が進められているのが、“デジタルアーカイブ”です。
デジタルアーカイブの構築を考えている団体や施設では、「デジタルアーカイブとはどのようなものか」「どのようなメリット・デメリットがあるのか」など疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、デジタルアーカイブの概要や導入するメリット・デメリット、導入事例について紹介します。
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デジタルアーカイブとは
デジタルアーカイブとは、公文書や貴重書、文化財などの情報資産をデジタル化して保存・共有・公開する仕組みです。
紙媒体の資料や貴重書をスキャンして電子化したり、有形の作品をカメラ撮影によってデジタル画像化したりすることで、コンテンツをまとめたデータベースとして使用することが可能です。
また、デジタル化した情報をインターネット上で公開することによって、歴史的な資料などを多くの人に共有して、利活用を促せるようになります。
なお、紙媒体の資料を電子化するメリットや方法については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
資料電子化を行うメリットとは? 担当者が押さえておきたいポイントと注意点
デジタルアーカイブを構築するメリット
デジタルアーカイブを構築することで、資料などの管理や共有がしやすくなり、目的に応じてさまざまな活用ができるようになります。主なメリットには、以下が挙げられます。
資料の一元管理が可能になる
紙媒体の資料や貴重書、写真などの資料をデジタルコンテンツ化して、管理・検索するためのメタデータを作成することで、膨大な情報を一元管理できます。
資料の内容や作成年代、保管場所などの情報を整理・管理しやすくなるため、情報収集をスムーズに行えるようになります。
情報資産の劣化・破損を防げる
デジタルアーカイブを構築して、有形・無形の情報資産をデジタルコンテンツとして保存したり、資料や文化財の展示に、デジタル画像やレプリカを使用することで、さまざまな人が触ることによる劣化・破損の対策にもつながります。
時間や場所を気にせず閲覧できる
デジタルアーカイブ化した資料をインターネット上で公開すると、時間や場所を問わずに閲覧することが可能です。
現地に足を運ばずに、資料をインターネットから閲覧・ダウンロードできるようになると、図書館や博物館といった文化的施設、または学習、研究の分野での利活用が促進されることが期待できます。
検索が容易になる
膨大な資料などを1つのデータベースに集約することで、どこに目的の資料があるのか倉庫やファイルを探す必要がなくなります。
また、日付や作者、コンテンツのジャンルなどさまざまな切り口・キーワードから検索できる仕組みをつくると、目的の資料にすぐにたどり着けるようになります。
デジタルアーカイブを構築するデメリット
デジタルアーカイブを構築すると、資料などを円滑に共有して利活用を促進するメリットが期待できる一方で、次のようなデメリットもあります。
データが消失するリスクがある
デジタルアーカイブでは、システムエラーやデバイスの破損などによって、データが消失する可能性があります。また、データ読み込みソフトやデバイスの互換性がなくなると、データを閲覧できなくなるリスクも考えられます。
デジタルアーカイブを構築する際は、長期保存ができて、なおかつ特定の機器・ソフトウェアへの依存度が低いフォーマットに変換して保存することが重要です。
そのほか、データの消失に備えてバックアップを実施したり、定期的にシステムのリプレイスを検討したりすることも必要です。
著作権や肖像権の取り扱い
デジタルアーカイブで保存・共有・公開するデジタルコンテンツについては、著作権や肖像権の取り扱いに注意が必要です。
著作権の有無や権利制限を確認するとともに、個人が映っている写真・動画などは、ルールに則って取り扱う必要があります。
運用前には、資料の著作権・肖像権の取り扱いや二次利用の条件、閲覧・加工などのルールを取り決めて、明記しておくことが重要です。
デジタルアーカイブの導入事例
ここからは、自治体や公共の図書館でデジタルアーカイブを構築した事例について紹介します。
小金井市さまの事例|自治体の広報に導入
小金井市の広報秘書課では、市内の行事や季節の写真などを利活用するために、デジタルアーカイブを構築しています。
写真のネガフィルムを電子化するとともに、画像にメタデータを付与してデータベース形式の充実を図っており、管理の効率化、検索性の向上につなげています。
保存された写真ファイルは、自治体の広報誌や報道機関への情報提供などに活用されています。(※)
※このデジタルアーカイブは、公開はされておらず、広報秘書課で利用するあるいは許可された人が利用する仕組みとなっています。
あきる野市中央図書館さまの事例|図書館に導入
あきる野市では、情報拠点となる中央図書館での取り組みの一環として、市の歴史資料や写真を公開するデジタルアーカイブを構築しています。
市に関する“歴史・ひと・情報”をベースに、写真館や深沢家文書、新聞などの情報資産が公開されており、世代を超えて受け継がれるような仕組みを整えています。
また、図書館内やインターネットで誰でも簡単に閲覧できるように、年代やフリーワードを用いた分かりやすい検索機能を構築しています。
まとめ
この記事では、デジタルアーカイブの活用について以下の内容を解説しました。
- デジタルアーカイブの概要
- デジタルアーカイブを構築するメリット・デメリット
- 自治体や市町村による導入事例
デジタルアーカイブを構築すると、公文書や貴重書、文化財などの歴史的資産をデジタルコンテンツ化して、一元管理できるようになります。
原資料の劣化・破損を防止できるほか、時間や場所の制限なく閲覧できる、検索が容易になるなどのメリットがあります。ただし、データ消失のリスクや、著作権と肖像権の取り扱いには注意が必要です。
目的や分野に適した使い勝手のよいデジタルアーカイブを安全に構築するならば、専門会社に依頼することがおすすめです。
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なお、デジタルアーカイブの作り方についてはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。