米国国立公文書館本館の展示を見てきました!
当社には、米国事務所があります。そこでは大型のスキャンプロジェクトを行うとともに、米国国立公文書館での資料の収集と調査も行っています。今回は、米国の公文書館の展示について出張時に見聞きした現地の様子をお伝えします。
米国各地の多数の資料館からなる米国国立公文書館
国立公文書記録管理局(National Archives and Records Administration, NARA)は、アメリカ合衆国政府の書類と歴史的価値のある資料を保存する公文書館で、米国連邦政府下の独立機関です。アメリカ国内にあるレコードセンターや地域の資料館、大統領図書館など33の資料館がその組織下にあります。
中でも太平洋戦争中の資料が多く保管されていて日本人の研究者が多く訪れるカレッジパークにある新館と、ワシントンDCにあり本部が置かれている本館はその特別な存在と言えるでしょう。
本館と新館はどう異なるのか
ニチマイ米国事務所の資料調査収集は、日本関係の資料が多ことからとんど新館での作業となります。しかし、調査内容によってはワシントンDCまで行き、本館での調査を行うこともあります。
本館と新館の違いを簡単に見てみましょう。
本館
所在地: ワシントンDC
開館: 1935年
特徴: リサーチ機能以外にミュージアムを併設している。
所蔵資料:家系図作成者が利用する移民・帰化・国勢調査に関する資料、先住民族の記録、独立戦争から米比戦争までの軍事資料、アメリカ連合国や奴隷解放運動の記録、司法や議会関連の書類、年金や不動産記録などを中心に保管している。(Wikipediaより)
本館ミュージアム側
新館
所在地: メリーランド州カレッジパーク
開館: 1994年
特徴: 新館と比較してリサーチルームにキャパが大きい。世界各国から研究者が多く訪れる。
所蔵資料:主に第二次大戦以降の軍事資料と写真・地図・映像資料を保管している。日本関係資料も多い。
新館の入り口
先に述べさせていただきましたとおり、当社の米国事務所では主に新館でリサーチ業務を行っています。それらの調査の内容や資料の紹介はニチマイ米国事務所のHPやブログで詳しく説明をしています。
今回は、当社のブログなどでも扱いの少ない本館ミュージアムをご案内したいと思います。
米国国立公文書館本館
ワシントンDCにある米国国立公文書館は、歴史的なとても荘厳な建物です。近隣には連邦関係の建築物が立ち並びます。道の向こうには有名なアメリカ合衆国議会の建築物があり、世界中の有名な芸術品が見られるナショナルギャラリーやスミソニアン国立博物館もほど近いところにあります。
公文書館本館は、リサーチの入り口とミュージアムの入り口は異なり、建物の反対面に位置しています。
リサーチの入り口は新館を結ぶシャトルの待ち合わせ場所に近く、利便性が配慮されています。
リサーチセンター入口の看板
リサーチセンターの入り口(右下)
一方、反対側のミュージアム入口は、大きく開かれた印象です。観光客も多いため、広い歩道にはキッチンカーなどが数台止まっており、飲み物やホットドックやプレッシェルなどの販売が行われていました。
ミュージアムの入り口を示す看板
ミュージアム
本館は、アメリカの独立宣言書の原資料が見られることでとても有名です。その他にも、必ず別の企画展示が行われています。展示の内容の紹介は、いつも建物の柱を生かし縦に長い布を使っており、インパクトのある表現になっています。この時はスポーツに関する展示が行われていました。
ミュージアム側の入り口
多くの米国国立の博物館や美術館がそうであるように入場料は無料です。とはいえ入館のチェックは入念に行われます。
空港の搭乗口前で行われるようなX線による荷物検査があり、入館者も同様にX線のゲートをくぐります。
アメリカ独立宣言書の展示は、大きくて高い丸天井の自由の検証の建物と言われるロタンダで行われています。その壁には当時の様子を示した絵画が数点かけられ、ガラスケースには原資料が展示されています。
大きく開かれた部屋の入り口には、職員がいて、来た人それぞれに簡単な説明や注意事項、案内をしてくれます。
もっと具体的にお伝え出来たらいいのですが、写真撮影は一切禁止されているので、写真を撮ることはできませんでした。
以下のサイトは米国国立公文書館本館の独立宣言書展示のサイトページで、写真が多数ご覧いただけます。
展示されている文書はもちろん全て手書きですが、美しい筆記体で書かれており、重厚さも感じました。このような正式な文書を書くというのは、ある程度の地位を持った人の重要な仕事だったようです。
アメリカ人と思われる人、別の国からの観光客と見られる人多数がこの独立宣言書を見に来ていました。
スキマ時間を有効利用?
都市部のミュージアムや美術館が無料であることで、隙間時間を使って、本物に触れることができるのはとても素晴らしいと思いました。
実際、帰りはシャトルバスで新館に戻る予定でしたが、目の前でバスが行ってしまいました。次のバスは1時間後となりましたが、その時間を利用して近くのナショナルギャラリーでルノワールやセザンヌを見ることができました。本物に触れる機会を増やせるという点でとてもメリットがあると思いました。
※参考記事
水路協会さまの展示を含めたプロジェクトについて紹介しています。