企業アーカイブへの取組とデジタルアーカイブのメリット
企業がアーカイブに取り組むことには様々なメリットがあります。今回は、企業アーカイブにおいてデジタルアーカイブを構築するメリットなどについてご紹介します。
弊社のお客様でもある東京海上日動火災保険㈱のアーキビストに、デジタルアーカイブ構築の道のりをインタビューした記事はこちら。
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企業アーカイブとは?
企業アーカイブとは、企業のこれまでの活動に関する様々な資料を収集・整理・保管し、
活用できるようにする仕組みのことをいいます。
企業のDNAともいえる歴史的な資料は、企業の業態や規模、創業年数などによって様々です。
それでは企業アーカイブの対象となり得る資料には、
どのようなものがあるのでしょうか?
例として次のようなものがあります。
企業アーカイブにおける資料例
・報告書類
事業報告書や営業報告書などがあります。
当時の事業やプロジェクト、営業活動などに関する情報を知ることができ、
現在の事業の進め方や新事業の企画・構築にも役立てることが期待できます。
・契約書類
顧客との契約書や仕入れ先との契約書などがあります。
当時の契約条件や商習慣などを知ることができます。
・社内報
入社式やレクリエーションなどの社内行事をはじめ、社員紹介や新商品の紹介、様々なベストプラクティス等が掲載されており、社内の様々な状況を知ることができます。
・議事録類
主に取締役会議事録や株主総会議事録などがあります。
当時の経営層のビジョンや戦略などを伺い知ることができます。
・写真資料
社内報に掲載される元となった写真や、拠点ごとの社屋の写真、創業者の写真などがあります。写真はインパクトも強く、アーカイブにとってニーズの高い資料です。
・商品(サービス)資料
商品カタログや製品の設計図、顧客への提案書などがあります。
当時の商品性能やビジネス戦略などを知ることができます。
・財務諸表など
貸借対照表や損益計算書、付属明細書などの財務諸表があります。
当時の経営状況を知る手掛かりとなり、財務状況の見直しや再計画に役立てることも期待できます。
例としてはこうした資料が考えられますが、企業の業態や規模、創業年数などによって様々です。
これらの資料は倉庫に保存されていたり、あるいは色々な部署や拠点などに散らばって保管されていることもあるため、そのような場合は各方面に呼びかけを行って資料を収集することが必要になります。
収集した資料を1点ごとに整理して目録化し、デジタル化をして内外に公開する、
というのが企業アーカイブにおけるデジタルアーカイブの大雑把なステップとなります。
企業アーカイブにおけるデジタルアーカイブのメリット
企業アーカイブに取り組み、デジタルアーカイブを構築することには様々なメリットがあります。
・社員教育
創業者、歴代経営者の経営理念や製品の歴史などを知ることで、自社に関連する知識を蓄積できることをはじめ、自分の会社へのロイヤリティを高めることや、組織としての一体感を醸成することにつながります。
・ブランディング
経営理念や経営方針などを発信することで、株主や顧客などのステークホルダーから共感を得るといったブランディング効果が期待できます。
また企業の歴史の中には、ドラマチックな内容がたくさんあります。
例えば事業の成功に至るまでの苦悩や様々な障壁、それを乗り越えた打開策などを発信することで、企業イメージ向上といった効果が期待できます。
・戦略的意思決定
先人の知恵から学ぶことは多く、企業アーカイブにおいてもそのメリットを享受することができます。
過去の製品設計図や研究資料から製品開発へのきっかけになったり、過去の事業報告書や提案書を参考にした結果、会社のピンチを救ったといった事例は数多く聞きます。
先人が気付いた知恵やノウハウを後世に伝えて役立てるためにも、アーカイブへの取り組みは重要であるといえます。
・原資料の保護
特に古い資料においては、経年劣化などにより紙質が脆くなっているケースがあります。
企業アーカイブを構築するうえで資料をデジタル化すれば、
利用者が現物に触れることなく資料を閲覧できるため、
資料の破損や汚損を防ぎ、劣化の進行を緩和することができます。
アーカイブにおける資料は日常業務に現用文書と異なり、
デジタル化(電子化)をすればペーパーレス化が図れるといったものではありません。
デジタル化をしても原資料は整った環境下で長期保存することが求められます。
・保有資料の一元管理
収集した資料を整理し目録を作成することで、保有している資料の一元管理が可能になります。
目録はデジタルアーカイブにおいて管理・利用するうえで、最もベースとなる情報です。
資料のタイトルとその内容をはじめ、作成者や作成年代、資料の説明などの情報を管理することが可能になります。
・利便性の向上
企業アーカイブを進め、デジタルアーカイブを構築することで利用者の利便性が向上します。
インターネット上に公開すればキーワードなどによる検索が可能になるとともに、
地理的・時間的制約を超えて資料にアクセスすることができます。
利便性が向上するほど利用者が増え、企業の認知度が向上するといった効果も期待できます。
まとめ
企業アーカイブを進め、デジタルアーカイブを構築することには様々なメリットがあります。
昨今では企業が経営戦略の観点からアーカイブに取り組んでおり、
経営本部や経営企画部門の直下にある部署が、企業アーカイブの業務を担う会社が増えています。
以前は資料をきちんと保存して利活用することが必要だと会社から理解はされていても、
単なるコストセンターとしてしか認識されていないところもありました。
しかし最近では、先に述べたブランディングや組織としての一体感の醸成などといった効果が期待できることから、企業に収益を生む取り組みとして評価されてきています。
デジタルアーカイブに取り組みを検討されている方はぜひお問い合わせください。
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