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貴重資料のデジタル化における作業項目について①

今回は貴重資料デジタル化の作業項目についてご説明させていただきます。
作業項目が10項目ありましたので、2回に分けて掲載いたします。
デジタル化の対象となる原資料は、お預かりさせていただき、ニチマイの社内にて作業をする想定です。
初回は原資料の搬出から、オーバーヘッド型スキャナを利用した画像データ入力作業までになります。
少しでも貴重資料のデジタル化を検討される方々の参考となれば幸いです。


↓↓↓「貴重資料のデジタル化における作業項目について②」はこちら↓↓↓

  貴重資料のデジタル化における作業項目について② 今回は前回記事の続きです。貴重資料のデジタル化作業項目について、画像データ検査作業から最終項目の資料搬入作業までをご説明させていただきます。 デジアカ



目次[非表示]

  1. 資料搬出作業
  2. 前整理作業
  3. カラーマネジメント
  4. 画像データ入力作業
  5. まとめ



資料搬出作業

搬出作業は、デジタル化の対象となる原資料のリストをもとに行います。
冊単位や封筒単位など搬出された原資料が何冊、何件あったか双方で確認するために必要です。
資料リストに、より詳細な資料点数などの記載がある場合は、この後の前整理作業にて確認を行うこととします。
資料搬出には、強度のある折り畳み式コンテナ(以下「折りコン」という。)等を利用して、作業を行いましょう。
梱包では折りコンの中で原資料が大きく動いて破損しないよう、隙間に緩衝材等を入れて搬出すると安全です。
折リコンには、通し番号や収納内容を記載した管理票を貼付して、管理することも重要です。
ニチマイでは、温湿度管理された耐火保管庫にて、お預かりした貴重資料を保管しています。
耐火保管庫は、セコムカードリーダーで入退室管理を行い、紛失・盗難の防止対策も行っています。



前整理作業

前整理作業では、初めに搬出作業の確認を行います。
資料リストと折りコンに貼付された管理票に齟齬がないか、原資料を取り出して確認します。
より詳細な資料点数などの記載がある場合は、あわせて照合して確認することが必要です。
前整理作業の目的は、画像データ入力作業を行うにあたっての、事前調査になります。

主に以下のような確認を事前に行っています。
・落丁、乱丁、印刷不良、汚損破損の有無
・ページの貼り付き、裏写りの状況確認
・付箋、折込ページ、附属物、挟み込み資料の有無

これらの情報は資料リストに追記して、全ての工程で確認ができるよう共有化します。
後工程で見つかる場合もありますので、その際も資料リストに追記し共有化しましょう。



カラーマネジメント

カラーマネジメントにおいては、まずはスキャナを設置する場所の環境を整えることが重要です。
ニチマイではスキャナ設置場所は暗幕で囲って、屋内照明や外光などの影響を低減させ、一定の明るさを保つように努めています。

また各スキャナを調整する際には、色差や階調の再現性に関する以下の設定を行うことで、高い色再現性が実現しています。

【色差】
・共通のホワイトバランス調整
・ICCプロファイル作製及び調整
・基準値との色差の算出

【階調の再現性】
・AIMポイント3点の基準値設定
・基準値からの許容範囲設定

あわせて、色差や階調の再現性などを評価する体制が整っていますので、限りなく原資料に近い色再現が可能です。
毎日の作業開始前には、キャリブレーションとAIMポイントのチェックを行い、品質維持に努めています。
ディスプレイはカラーマネジメント対応製品を使用し、必要に応じて測色計にて適正な値に補正をしています。



画像データ入力作業

貴重資料のデジタル化は、原資料を強く押さえつけずに作業できるオーバーヘッド型スキャナを使用します。
ニチマイでは、原資料の形態やサイズ、希望する解像度等に応じてスキャナを選択しています。



コニカミノルタ ScanDIVA

見開きA3までの資料に対応

I2s Copibook

見開きA2までの資料に対応

I2s Digibook Quartz

見開きA1までの資料に対応



画像データ入力に関する以下の基本的な設定は、事前にスキャナに登録しておきます。



入力サイズ

作業単位や資料単位でサイズを設定

解像度

JISでは精細な復元を要求する文書では300、400dpiを推奨

階調

2値、グレースケール、フルカラーなど用途に応じて選択

ファイル形式

長期保存には、広く活用されているTIFFがおすすめ



資料の撮影手法やチャート、巻尺など一緒に写し込む位置等も事前に決めておきましょう。
資料形態によっては、別途仕様を定める必要性もございます。
・付箋、折込ページ、附属物、挟み込み資料
・箱、帙、封筒、巻物の特殊形状資料
ニチマイでは、資料形態に合わせたスキャナや撮影手法など、ご提案させていただきます。

また入力作業時は以下のようなことも意識して作業に従事することが重要です。
・撮影に使用する台紙、間紙、チャート、名票などの汚れや傾きにも注意
・特殊な形状資料の箱、帙、封筒、巻物などは傾きや光の反射にも注意
・劣化や破損で撮影が難しい資料や、解体が必要と思われる資料は疑義照会

画像データ入力作業は、仕様と事前調査の内容を確認して、慎重かつ丁寧に作業を行いましょう。



↓↓↓デジタル化の入力機器についてはこちら↓↓↓

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まとめ

貴重資料のデジタル化作業では、原資料に代わる高品質な画像データを作製しましょう。
資料を外部に持ち出して作業ができない場合は、スキャナを持ち込んで作業することも可能です。
前整理作業から画像データ入力作業までを、ご指定の場所で作業させていただきます。
お気軽にご相談ください。


今回の作業項目は、資料搬出作業から画像データ入力作業までとさせていただきました。
次回は、画像データ検査作業から最終項目の資料搬入(返却)作業までをご説明させていただきます。
引き続き閲覧していただければ幸いです。


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  貴重資料のデジタル化における作業項目について② 今回は前回記事の続きです。貴重資料のデジタル化作業項目について、画像データ検査作業から最終項目の資料搬入作業までをご説明させていただきます。 デジアカ




参考文献

国立国会図書館 国立国会図書館資料デジタル化の手引2017年版

公益社団法人日本文書情報マネジメント協会 文書情報マネジメント概論




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Kurita
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