貴重資料のデジタル化における作業項目について②
前回は資料搬出作業から画像データ入力作業までをご説明させていただきました。
今回は前回記事の続きです。
貴重資料デジタル化の作業項目である、画像データ検査作業から資料搬入作業までをご説明させていただきます。
貴重資料のデジタル化を検討される際に参考となれば幸いです。
画像データ検査作業
全ての画像データに対して、ツールを使用した検査と目視検査を行います。
ツール検査では
階調(ビット数)・解像度・ファイル形式・カラープロファイルなどを確認します。
目視検査では
スキャンもれ・可読性・重複・順不同・傾き・回転・ゴミ・汚れ・写り込み・モアレ・歪みなどを見ます。
各検査項目と再処理の手法(再スキャン・削除・画像加工・再リネームなど)は、作業開始前に決めて作業にあたることが重要です。
弊社では資料リストに項目を追記し、作業管理リストとして作業進捗管理や検査管理などを行っています。
画像データ検査作業ではモニターを2台使用し、入力した画像データと作業管理リストを別々のモニターに表示して検査しています。
画像データの表示は、カラーマネジメント対応液晶モニターを使用
ファイル名付与作業
画像データ入力時には原資料の所在がわかるようなフォルダ構造(ディレクトリ)として、ファイル名には連番を付与します。
原資料の所在がわかるようなとは、借用時に梱包した折りコンの通し番号と各原資料が識別できる資料名やIDなどです。
最終的には仕様に基づいてフォルダ名も含めリネーム処理を行います。
リネーム処理は、作業管理リストに必要項目を準備して使用することで、間違えがあった場合でも要因を特定することが可能です。
メタデータ作成(テキスト入力)作業
デジタル化の対象となる資料リストを作成する際に、メタデータの項目も一緒に検討することをおすすめします。
後で追加することも可能ですが、件数が多くなれば、あらたな工数も見なければなりません。
メタデータはデータを説明するためのデータと言われています。
画像データ化した資料の見せ方などを検討することで、整備すべき項目が見えてきます。
標準的なメタデータ項目(ダブリンコア)を押えて、既存のデータなども活用しながら項目を決めると良いでしょう。
画像データ作製時に入力する内容がある場合は、その入力内容と仕様を明確にする必要があります。
また目次などを作業にあわせてテキスト化する場合は、入力件数や文字数などの概算数量も必要となります。
フォーマット変換作業
変換ツールを使用して、指定されたファイルフォーマットに変換を行います。
作業は、画像データとメタデータが完成してから行うと効率的です。
変換後にはオープンチェックを行い、正しく変換されたか確認します。
最後に記録する納品媒体の容量にあわせた、書き込みデータの編集作業も行います。
納品媒体作製作業
納品媒体には以下の媒体がよく指定されています。
ハードディスク・・・外付けHDD
光ディスク・・・長期保存用光ディスク
光ディスク・・・CD・DVD・Blu-rayなど
各媒体にはそれぞれメリット、デメリットがあり用途や予算に応じた選択が必要です。
ハードディスクは耐久性の面からも、納品されたデータをシステムへ移行して管理できる場合には有効です。
長期保存を考慮した場合、長期保存用光ディスクの利用も選択肢の一つとしてあります。
CD・DVD・Blu-rayなどの光ディスクでは、記録時などのエラー値を測定して品質維持を図る手法もあります。
作業工程としては全ての媒体に対してウイルスチェックとオープンチェックを実施し、ファイル数や盤面印字などの最終確認をして完成です。
まとめ
貴重資料のデジタル化作業における、作業項目を10項目に分けて簡単に説明させていただきました。
作業は実際に着手すると、様々な事象が発生して、その都度確認を取りながら進めていくこととなります。
当社では作業に精通した技術者を各工程に従事させることで、より高品質な製品の提供を心掛けています。
貴重資料のデジタル化をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。
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参考文献
・国立国会図書館 国立国会図書館資料デジタル化の手引2017年版
・国立国会図書館関西館電子図書館課 資料デジタル化の基礎 平成30年7月