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予算を獲得するためのデジタルアーカイブ企画書の作り方!

政府機関や自治体、民間企業をはじめ、図書館、学校、博物館など様々な機関で導入が広がっているデジタルアーカイブ。

しかし諸外国に比べるとまだまだその取り組みは遅れているとも言われています。

そんな中で所属する組織から理解を得て、予算を確保するのは簡単ではありません。

今回はデジタルアーカイブの予算取りを意識した企画書(計画書)の作成方法ついてご紹介します。

  デジタルアーカイブ実行計画書策定 デジタルアーカイブ構築対象となる資料や想定ユーザーへの調査を実施し、その結果を踏まえてデジタル化の方法やメタデータ項目の設計、最適なシステムの構築方法など、デジタルアーカイブ導入・運用を進めるための計画書を策定します。 デジアカ ​​​​​​​


目次[非表示]

    1. 目的を明確にする!
    2. 基本的な方針を決める!
    3. 対象を選定する!
    4. 事前調査をする
    5. 企画書(計画書)を作成する
      1. 1.目的と期待できる効果
      2. 2.基本方針
      3. 3.デジタル化の方法
      4. 4.メタデータ項目
      5. 5.データの提供方法
      6. 6.スケジュール
      7. 7.費用
    6. まとめ

目的を明確にする!


デジタルアーカイブとは、過去から現在までの様々な情報をデジタル化し、それを保存・活用することです。


教育、地域振興、科学、災害対策、企業活動など様々な分野での活用が広がっており、

過去の情報をヒントにした思いがけない発見や問題解決、イノベーションが生まれるケースは少なくありません。


そうした中、どのような目的でデジタルアーカイブに取り組むのか、

目的と期待する効果(メリット)を明確にしておくことが重要です。


デジタルアーカイブを始めるにあたっては一定の予算確保が必要となりますが、

所属する組織から予算稟議の承認を得るには、

効果をアピールして、理解と合意を得る必要があります。


組織にとってのデジタルアーカイブの効果として、

民間企業においては企業ブランディングや認知度向上、社員教育などがありますし、

自治体では地方創生や地域振興、

教育機関では教育メニューの充実化や入学希望者の増加などが考えられます。


さらにデジタルアーカイブの目的によっては、

情報の活用方法や利用者のターゲット、公開・非公開の棲み分けなど様々な条件も決まることになりますので、

デジタルアーカイブに取り組む目的と期待する効果は明確にしましょう。


こうしたデジタルアーカイブの様々な目的を示した社会全体におけるイメージ図が、

デジタルアーカイブジャパン推進委員会・実務者検討委員会による『3か年総括報告書

我が国が⽬指すデジタルアーカイブ社会の実現に向けて』の中の12ページに掲載されています。

デジタルアーカイブジャパン推進委員会・実務者検討委員会『3か年総括報告書 我が国が⽬指すデジタルアーカイブ社会の実現に向けて』


基本的な方針を決める!


目的を整理したら、次に基本的な方針を定めます。


例えば国立公文書館では、

「いつでも」「どこでも」「だれでも」「自由に」「無料で」という基本方針が、

同館が定めた『公文書館等における デジタルアーカイブ・システムの標準仕様書』やホームページなどに掲載されています。


こうした骨太方針を軸にしてミクロな施策を講じていくことになるため、

まずは「だれに」「なにを」「どのように」といった基本的な方針を定めるようにしましょう。


方針を定めるにあたっては、

マーケティング戦略におけるフレームワークとして一般的に使われている『4P戦略』が参考になり、デジタルアーカイブに応用できると考えます。


・Product:ターゲットにどのような製品(サービス)を売るのか

 →どのような情報コンテンツを届けるのか


・Place:ターゲットにどのような経路で届けるのか(店舗・ネットなど)

 →デジタルアーカイブを提供するシステムやネット上のサイト、設備、媒体などの経路をどうするか


・Price:ターゲットにどのくらいの費用(価格帯)で届けるのか

 →構築にあたっての費用や予算規模


・Promotion:ターゲットにどのように販促活動をするか(広報・広告・キャンペーン等)

 →SNSや企画展、ネット上のサイトなど認知度向上に資する施策の検討


骨太方針を考える上でのプロセスなので、

ここではあまり具体的に考え込まず抽象的なイメージでよいと考えます。


対象を選定する!


先に記述したマーケティングの4P戦略で言うところの「Product」にあたるところですが、

デジタルアーカイブの対象となるものは様々です。


総務省が2012年に出した『デジタルアーカイブの構築・連携のための ガイドライン』において、デジタルアーカイブの対象は、

「図書・出版物、公文書、美術品・博物品・歴史資料等」としています。

これらの他にも地域イベントなどの無形文化財や、デジタル化せずとも元々デジタルで発生したデジタルデータ(ボーンデジタル)などが存在し、対象候補となります。


総務省『デジタルアーカイブの構築・連携のための ガイドライン』


こうした対象候補をデジタル化するにあたっては、

やり方やファイル形式なども様々です。


参考になるのは、先述の国立公文書館が示した『公文書館等におけるデジタルアーカイブ・システムの標準仕様書』です。

画像データや動画データ、音声データなどにおいて、

特別なソフトウェアなどを必要としない標準的なデータ形式が、

こちらのP.22あたりから示されています。


国立公文書館『公文書館等におけるデジタルアーカイブ・システムの標準仕様書』


また外部からの情報源を活用するような場合には、

著作権や肖像権などの権利処理をすることも必要です。


著作権についての説明や権利処理の方法などについては、

文化庁による著作権テキストが参考になります。


文化庁 著作権テキスト


知的財産において著作権がどういったものかという説明や、

著作物を利用したい場合の許諾の方法、条件などがわかりやすく掲載されています。


デジタルアーカイブの対象は、目的や利用者ニーズに応じて選定をすると同時に、

デジタルデータを作成、収集していくというプロセスにおいては、

こうした権利処理にも注意が必要となります。


事前調査をする


調査対象の1つ目は、デジタルアーカイブの対象となる情報資源(以下、対象資料という)の調査についてです。

この調査の目的は、全体像を把握し、デジタル化の費用と利活用のために有効な仕組みを検討するための情報収集にあります。


まず大まかに対象資料のテーマや種類、年代などの資料群ごとにグループ分けをします。

グループ分けをした中でもデジタル化が必要な対象資料は保有機関によって様々ですが、

ここでは紙媒体の資料を調査する際の「視点」についてご紹介します。


下に示した視点は、デジタル化の費用について見積もる時に必要な項目とも関連します。

さらに精緻な見積もりが必要な場合は、こちらをご参照ください。

  デジタル化の正確な見積の為に必要な情報とは。—その1(数量編)— 貴重資料、紙資料のデジタル化計画にあたり、正確な費用の算出は大切な要素となります。デジタル化を行う委託業者さんに見積を依頼する際に、どのような情報を提供すればよいのでしょうか。ポイントをまとめました。 デジアカ


調査対象の2つ目として、可能な場合には想定される利用者からの要望を調査します。

ユーザーが不特定の場合は難しいと思いますが、

利用者が組織内など特定の人たちに限定されている場合には、

アンケートやヒアリングなどを実施して、活用したい資料やその検索方法などに関するニーズを収集するとよいでしょう。


企画書(計画書)を作成する


ここまで記載した内容を踏まえて、企画書を作成します。

企画書の項目例は次のようなものになります。


1.目的と期待できる効果

デジタルアーカイブに取り組む目的と期待できる効果を明確に示します。

先述のとおり、予算を確保するためには効果を明確に示すことが重要です。

その他にも「外部おける類似の成功事例」を示したり、「組織の強み」を示すなどの工夫も必要です。

組織の強みとは、利用者の関心を惹くような歴史やエピソードなどです。

そうした情報を活用することで、より説得力のある企画書になります。


2.基本方針

メッセージ性のある(スローガン的な)骨太の基本方針を示します。

先述の4P戦略のフレームワークを参考に、

「だれに」「なにを」「どのように」といった視点で書くとよいでしょう。

また1.に記した「期待できる効果」との関連が深いと、より訴求力が高まります。


3.デジタル化の方法

対象資料によってスキャニングやデジカメ撮影などのやり方がありますが、

デジタル化の仕様についても記載するとよいでしょう。

デジタル化の仕様については当社のテンプレートがあるので、こちらからダウンロードしてみてください。

  【仕様書サンプル】 紙資料デジタル化|デジタル化で資料の利活用を推進するならデジアカ 【仕様書サンプル】 紙資料デジタル化は当ページからダウンロードいただけます。デジタルアーカイブでお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。 デジアカ


4.メタデータ項目

メタデータ項目は、利用者の利便性に直結するものです。

作り込むほど検索性能が向上するという利点がありますが、

入力作業には多くの時間と手間がかかります。

利用者アンケートなどの調査結果を踏まえて、

必須項目と任意項目に分けるなど、

優先順位を決めるようにしましょう。

こちらの記事も参考にしてみてください。

  デジタルアーカイブにおけるメタデータ作成 メタデータの作成はデジタルアーカイブに取り組む上でのスタート地点と言っても過言ではありません。 今回はメタデータの作成方法や留意点などについてご紹介します。 デジアカ


5.データの提供方法

どのようなメディアやシステムを選択してデータを提供するかを記載します。

利用対象者をイメージして、より多くの人に利用してもらえる環境を構築します。

規模によっても異なりますので、システムに希望する要件を簡単にまとめましょう。

過度に作り込むことなくユーザーフレンドリーな提供方法が望まれます。


6.スケジュール

実施項目ごとのスケジュールを記載します。

ガントチャートなどを使ってわかりやすく記載するとよいでしょう。


7.費用

実施項目やフェイズごとに分けて明細化して記載します。

外部業者からの概案見積なども利用します。

この段階であまり精緻な費用を見積もるのは難しいので、

まずは事前調査などから把握している範囲で、大まかにでも進めるようにしましょう。


これらの項目を矛盾なく、一貫性をもって作成すると、説得力のある計画書となります。

当社でも企画書作成や概算見積りの作成などを承っていますので、

ぜひご相談ください。

無料相談会も実施しています。

  無料相談会 デジアカ無料相談会に関する説明と申込みのページです。 デジアカ


まとめ

・デジタルアーカイブを始めるにあたっては、目的や得られる効果、骨太方針を明確にする。

・事前の調査では対象資料のほか、可能な範囲で利用者からニーズを収集する。

・計画書は、デジタルアーカイブに取り組む目的からデータの提供方法まで一貫性を保持して、説得力を高める。

Suzuki
Suzuki
微力ながらみなさんのデジタルアーカイブへの取り組みを、ご支援してまいります。どうぞよろしくお願いします。

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