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マイクロフィルム感光材料の提供が終了した後のマイクロフィルム活用方法

マイクロフィルム感光材料については、販売・製造を行っている富士フイルム株式会社から、生産終了が発表されています。
マイクロフィルムについては2025年12月に最終受注、処理薬品については2026年3月に最終受注とされています。

 

https://www.fujifilm.com/jp/ja/business/data-management/microfilm

(富士フイルム株式会社ホームページより該当ページ)

これにより、新たにマイクロフィルムで撮影したり、複製をとったりすることが難しくなり、各アーカイブ機関や部門では、その対応が迫られています。
一方で、いままでに作製されてきた大量のマイクロフィルムは、依然として優れた保存性を保っており、アーカイブ媒体としての価値は変わっていません。
今回は、感材提供が終わった後、マイクロフィルムを如何に活用するかについて考えてみたいと思います。

 

感材提供終了後の影響について

まずは感材提供が終わることで、できなくなることについて整理してみましょう。

①新たなマイクロフィルムの撮影ができなくなります。
保存用の媒体として、マイクロフィルムへの媒体変換が不可能となります。

②新たにマイクロフィルムの複製ができなくなります。
利用する媒体として、マイクロフィルムから別のマイクロフィルムへの複製ができなくなります。
マイクロフィルム版として出版されていた、新聞や文献などのマイクロ出版物の提供も順次終了します。

つまり、新たに撮影マイクロフィルムや複製マイクロフィルムが容易に作れなくなります。
マイクロフィルムでの長期保存や利活用を行っている機関や部門では、代わりとなる媒体や方法の検討が急がれています。

 

マイクロフィルムの価値について

次にマイクロフィルムが長年使われてきた理由について考えて見ましょう。

①適切な環境で保管することで、長期の保存が可能
適正な処理及び保存方法にて管理されたフィルムは、期待寿命500年とされています。

②原情報を極度に縮小して作成され可視媒体
拡大すれば肉眼でも読むことが可能で、デジタル媒体とは違いシステム等に依存しないアナログ媒体です。

③法的証拠能力のあるうる媒体
過去の裁判でも証拠として採用された実績があり、改ざんすることが困難な媒体です。

④規格が整備されている、世界共通の媒体
JISやISOといった規格が整備されているので、世界中で使用することができます。

マイクロフィルムには、以上のような価値が存在し、その価値はこれからも変わることはないと言えます。
新たにマイクロフィルムを作製することは、難しくなりますが、所蔵フィルムの価値は今後も大きいです。

 

今後のマイクロフィルム活用方法について

価値あるマイクロフィルムを、今後如何に活用するか考えてみましょう。

・所蔵マイクロフィルムの状態確認

活用を考えるにあたり、まずは所蔵マイクロフィルムの状態を確認しましょう。
確認していただきたいのは以下の項目になります。

①素材と感光材料の確認
TAC・PETの素材の確認と感光材料の区別をします。

 ↓↓↓素材と感光材料については、こちらの記事で↓↓↓

 

②劣化度合いの確認
酢酸臭やべとつきの有無・フィルムの波打ち度合いなどの確認をします。

↓↓↓マイクロフィルムの劣化調査については、こちらの記事で↓↓↓

 

 

状態の確認作業を行うことで、活用できる内容や優先順位が変わってくると考えます。
まずは所蔵マイクロフィルムの状態を知ってから、活用方法を考えましょう。 

 

※写真2~4ではフィルムの取扱いが困難であり、活用することは不可能となります。

 

・保存媒体としての保存

状態の良いマイクロフィルムは、適切な環境で保管して永久保存媒体として保管しましょう。
先に述べた様に、マイクロフィルムには大きな価値があり、これからも変わることはないです。
またアナログ媒体としての長期保存やバックアップなどの観点では、あらためて再評価されています。
JIS Z 6009(銀-ゼラチンマイクロフィルムの処理及び保存方法)では、保存する環境条件として相対湿度と温度について表にて示されています。

マイクロフィルムの保存は、湿度と温度を意識しながら、定期的にフィルムの状態を確認して、状況に則した対応をとることが重要だとされています。

また劣化が進行しているフィルムも、状態の良いフィルムとは分けて、適切な環境で保管を行い延命を図りましょう。
劣化フィルムの活用には、作業場所や機材、品質などの課題はありますが、これらが解決されることで、道が開けることも考えられます。

 

↓↓↓マイクロフィルムの保存については、こちらで↓↓↓
公益社団法人日本文書情報マネジメント協会  マイクロフィルム保存の手引き
https://www.jiima.or.jp/wp-content/uploads/basic/Microfilm_hozon.pdf

 

・他媒体への媒体変換作業

マイクロフィルム感材提供が終わった後は、マイクロフィルムへの複製ができなくなります。
マイクロフィルムリーダーやリーダープリンターを使用して、投影や紙にプリントアウトするなどは、これからも可能です。
マイクロフィルム専用のスキャナーでスキャニング作業を行うことで、マイクロ像を画像データに変換することも、いままで通りできます。
しかし注意しなければならないのは、使用中にマイクロフィルムに傷がついたり破損したりすると、新しいフィルムにすることができなくなるという点です。
よって今後マイクロフィルムを利用される際は、まずは他媒体への媒体変換を検討することをおすすめいたします。
なかでもデジタル化は有力な選択肢となります。
マイクロ像の画像データ化や検索システムの導入を行うことで、これまで以上に活用の範囲が広がります。

 

↓↓↓今後の資料保存・利活用につなげる『マイクロフィルムの“デジタル化”』↓↓↓

 

 

媒体変換が済んだマイクロフィルムは、永久保存媒体として適切な環境で保管しましょう。

 

まとめ

令和7年度をもって、マイクロフィルム感光材料の提供は終了となります。
弊社では、引き続きマイクロフィルムの保存に関するフォローや、デジタル化のサービスを継続してまいります。
所蔵されているマイクロフィルムについて、お困りごとなどありましたら、お気軽に一度ご相談いただければ幸いです。

 

 

Kurita
Kurita
デジタルアーカイブの夜明けに貢献できるよう努めて参ります。