米国国立公文書館新館の予約と入館を体験!
公文書館などの資料館には多数の貴重資料が保管されています。9月にコロナ後予約制となったアメリカの公文書館を久しぶりに訪問しました。今回は、米国国立公文書館新館の予約や入館手続きについてご報告いたします。
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日本の研究者が多数訪れる米国国立公文書館新館
米国国立公文書館新館とは?
米国国立公文書館新館は、アメリカの国立公文書記録管理局(こくりつこうぶんしょきろくかんりきょく、英語: National Archives and Records Administration, NARA)のアメリカ合衆国政府の書類と歴史的価値のある資料を保存する公文書館の施設の1つです。
公文書館新館は、資料の増加によってワシントンD.C.の本館が手狭になったため、1994年にメリーランド大学カレッジパーク・キャンパスに隣接する場所に新館が建てられました。
「アーカイブスII(ツー)」、「アーカイブス・カレッジパーク」とも呼ばれています。
この新館では、主に第二次大戦以降の軍事資料と映画・ビデオなどのメディア資料を保管しています。この第二次大戦の軍事資料や日本の占領期の資料が多数あることから、日本からも毎年研究者が多く訪れていました。
しかし、2020年、2021年とコロナウィルス感染拡大の影響を受けて閉館を余儀なくされたり、またアメリカへの渡航もままならない時期がありましたが、コロナウィルス感染拡大も収束し、昨年から徐々に日本からの研究者の訪問も見られるようになってきました。
入館するためには予め予約が必要
コロナウィルス感染拡大を受け、館内のソーシャルディスタンスを保つため、米国国立公文書館は予約制となり今に至っています。 このため、来館前には予約が必要です。予約は3か月前からインターネットのサイトからできますので、日本国内からも行うことができます。 私も9月の出張が決まった6月に予約を入れました。特に夏休み期間(6月から9月ごろまで)は来館者が多いので早めの予約をおすすめします。
予約はどうチェックされる?
インターネットの予約画面に入るとわかるのですが、この予約システムは公文書館独自のものではなく、イベントなどを予約できるシステムのeventbriteとなっています。
Webサイトの予約画面
これはPC上のWebサイトの予約画面でここから、自分の予定している日を選択します。もし、予約がいっぱいであれば「Soldout」と表示されます。
予約をすると、電子チケットが発行されます。
入館時には、チケットを見せる必要があると思い、このeventbriteのスマホアプリをインストールしてチケットが表示されることを確認しておきました。
スマホアプリの画面
アメリカはきっとペーパーレスが進んでいると考え、印刷物は不要!
しかし、以外にそうではありませんでした。
公文書館に入るとまず空港のような荷物と人のX線検査が行なわれます。ここで、予約をしているかどうかの確認がされます。まず、荷物検査担当者に名前を聞かれます。彼の手元には予約者が名前順にソートされたリストを印刷した紙がありました。
そこから名前を探し出して、紙にチェックを書き入れての確認です。
後は、本人確認のためIDの提示を求められます。外国人であればパスポートの提示となります。これは予約制前から同様です。
次に1階の受付に立ち寄って、名前を言います。ここでも荷物検査のところと同様の紙のリストがあり、受付に座っている人がリストにチェックを書き入れます。
さらに、調査の準備をして資料室へ行くためのエレベータ前の受付や各資料室の受付にも全て紙のリストがあり、同様にチェックを書き入れていました。
「電子チケットをみせるぞー」とスマホを用意して意気込んでいたのですが、ついに見せる機会はありませんでした。
3年ぶりに行って変わった入館カード
以前の入館カードはとっくに期限が過ぎていたこと、また、入館カード自体も変更になったため、改めて利用者登録をしました。
利用者登録は専用の部屋がありそこで受け付けを行います。
数台置いてあるPCから名前などの必要な情報を入力するとともに、オリエンテーションとして数十問ある質問に答えていきます。それらは資料の取り扱いに関する質問で、正解しないと次に進むことはできません。
特に公文書館は原資料を取扱うことになるので、このオリエンテーションを行うことも必要であるとも思いました。貴重資料を扱うゆえに、資料の取り扱いについての簡単な質問ではありますが、利用をする上での確認になりました。
何とか答えて受付に行くと、受付係のPCでもちゃんと回答できたことが示されているので、次は顔写真を撮影します。
これで入館カードが発行されます。
入館カード
この入館カードですが、以前は作成するときに撮影した顔写真が印刷されたプラスティックのカードを渡されたのですが、そうではなく、大きさはカードサイズではあるもののシールになっていて前と比べてとても薄いものとなりました。表面には顔写真は無く、名前と入館者番号、有効期限、QRコードが印刷されています。
顔写真がカードに印刷されていないのは個人情報保護のためでしょうか?
このカードは、資料閲覧室に行くエレベータ前の受付や各閲覧室の受付のリーダーで読み込ませます。受付にはモニターがあるので、カードを読み込ませたときにモニターに顔が表示されるようで画面と顔を見比べられました。
館を出たら、荷物の再検査
お昼ご飯やお散歩などで一度外に出てしまうと再度X検査を行うことになります。
このあたりは銃社会だからなのか、かなり厳重であることを感じました。
アメリカの公文書館は、アメリカ国民だけではなくどの国の人も閲覧可能としています。それゆえに厳しい入館検査が必要になるのだと思います。
最後に外から
新館はガラス張りの建築で本館とはまた別の魅力的な建物となっています。
ワシントンDCにある本館とは異なり、新館の周りは自然がいっぱいです。森に隣接していて、私は経験は無いですが森の中を散策できるように道が整備されています。研究者の方が資料に囲まれての研究に疲れたら歩いてみるのもきっといいかも知れません。
玄関前には陰陽を示した植え込みがあり、ここも癒しの場になっています。
陰陽の道
森にはリスがたくさんいて、かわいい姿を見せてくれます。これも癒しの1つです。写真の真ん中にリスがいますがおわかりになるでしょうか?
写真中央にリス
まとめ
今回は、アメリカの公文書館の予約や入館について報告いたしました。予約制はコロナ禍がきっかけで取り入れられました。予約制というと敷居が高いように思えて、いろいろなことに影響してしまうのではないかと考えておりましたが、早めに予約さえしておけば、入館するのに心配はいらないという印象でした。ただし、予約が取りづらい時期は要注意だと考えます。
また、入館に関して厳しいのは、誰でも貴重資料の原資料にアクセスできるゆえなので納得のいくところでした。
初めて行く方は、前準備や情報を予め収集する必要があるかと思いますが、今回の記事が来館を考えている方の一助になればと思います。
※参考サイト
・ウィキペディア「アメリカ国立公文書記録管理局」
・The National Archives at College Park, Maryland
https://www.archives.gov/college-park