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施設内で資料のデジタル化を行う際に必要な作業場所の広さとは?

資料のデジタル化を行う場合には委託業者さんに資料を預けて行うことが多いと思います。

しかし、貴重な資料や利用頻度が高い等の資料をデジタル化する場合には、委託業者さんへ資料を預けることが難しいため、施設内に委託業者さんが機材を持ち込み作業者さんが常駐してデジタル化作業を行うことになります。

施設内でデジタル化作業を行うためには、様々な検討を事前にしておかないと安全なデジタル化作業の遂行に支障をきたす可能性が高くなってしまいます。

今回は様々な検討事項の中で「作業場所の広さ」について検討をしておくべきポイントをまとめました。

目次[非表示]

    1. 1.デジタル化作業に必要な広さとは?
    2. 2.スキャニング作業に必要な広さ
    3. 3.スキャニング前整理作業及び画像検査作業に必要な広さ
    4. 4.資料の一時保管場所に必要な広さ
    5. 5.資料や人の移動に必要な経路の幅
    6. 6.作業場所の床から天井までの高さ
    7. まとめ


1.デジタル化作業に必要な広さとは?

デジタル化作業場所ではデジタル化作業そのものに必要な空間や資料の一時保管場所などが必要となります。

デジタル化対象資料の種類や対象数量、仕様・工期によって従事する作業員さんの人数や使用機器、作業場所に保管される資料のボリュームが定まり作業場所の広さが決まります。

今回は以下の条件で作業を行った場合に必要なデジタル化作業場所の広さを想定してみました。

1)対象資料は見開きA3以下の資料

2)従事する作業者

①スキャニング作業者2名

②スキャニング前整理及び画像検査作業者3名

3)使用するスキャナーは原稿上向き式ブックスキャナー


2.スキャニング作業に必要な広さ

◆スキャニング作業に必要な広さ:作業者1名あたり約1.5m~2m×1.5m~2m

スキャニング作業に必要な広さは、画像取得を行うスキャナー等の機器類(載せ台含む)を設置する場所、作業者が担当する資料の一時置き場などが必要となります。

スキャニング作業では作業者が常時資料に触れることになります。そのため、作業空間が狭いと作業者の動きに無理が生じて、資料を安全に取り扱うことが難しくなってしまいます。また、狭い空間では作業を行う作業者さんの身体への負担も大きくなってしまうことがあります。このような状況ですと、作業者さんの1日の作業数量が落ちて計画通りに作業が進まない、資料の取り扱いに誤りが発生してしまうといった恐れも出てきます。

安全なスキャニング作業の為に、スキャニング作業場所は可能な限り広く確保できるように検討するようにしましょう。


3.スキャニング前整理作業及び画像検査作業に必要な広さ

◆スキャニング前整理作業及び画像検査作業に必要な広さ:作業者1名当たり約1.5m~2m×1.5m~2m

スキャニング作業前に行う前整理作業と、取得した画像データの検査を行う画像検査作業に必要な広さは、資料を展開できる広さと画像検査のためのモニターやPCを設置する場所、作業に必要な備品置き場及び作業者が担当する資料の一時置き場などが必要となります。

前整理作業では劣化状態や破損状態などの状態把握、資料タイトルとリストとの照合、折れ・しわ伸ばしなどの資料の整え作業を行います。

画像検査作業では、画像の取得漏れを確認するために、取得した画像を1ファイルずつモニターに表示して、画像取得元の資料1枚単位での照合を行います。

両作業ともに作業者が常に資料に触れる作業になる上に、記録を取る作業も発生します。そのため、作業空間が狭くなってしまうと、スキャニング作業同様に作業に無理が生じてしまう等作業場所が狭いことに起因する事象が発生してしまう恐れがあります。

スキャニング作業同様に作業場所は広めに確保できるように検討しましょう。


4.資料の一時保管場所に必要な広さ

◆資料の一時保管場所に必要な広さ:2m~3m×2m~3m

書庫や書架等施設内保管場所から移動してきたデジタル化対象資料を、デジタル化作業場所内にて一時的に保管する場所となります。資料を毎日施設内保管場所へ戻す資料運用の場合でも、1日の作業分の資料は作業場所に置いておくことになりますので、この資料保管場所は必要となります。

1日の作業として必要な資料は、スキャニング前整理作業、スキャニング作業、画像検査作業、各工程で作業を行う分となりますが、作業を行う分だけでなく、作業前・作業中・次工程待機分も含めて1日の作業分とする必要がありますので注意が必要です。

工程ごとの作業が終わるたびに施設内保管場所へ戻し、次工程の度に再度施設内保管場所から作業場所へ移動することは、資料を移動する回数が増えることによる資料保全上のリスクが高まります。それだけでなく、保管場所への移動時間等間接時間が増えてしまい作業進捗上も影響が出てしまう恐れもあります。

そのため、安全な資料運用の為に、作業前、作業中、次工程待機分を1日の作業分として保管できる、ある程度余裕を持った資料保管場所を検討できるとよいでしょう。

5.資料や人の移動に必要な経路の幅

◆資料や人の移動に必要な経路の幅:0.7m~1.5m

作業場所の資料保管場所から各工程の作業場所まで資料を移動したり、作業員さんが作業場所内を移動したりする経路の幅になります。

デジタル化対象資料は箱に入って保管されているか、ブックトラックに積載された状態で資料保管場所に置かれている場合が多いと思います。そのため資料を移動する際には資料が収納及び積載されている箱やブックトラックの幅を考慮することが大切です。

人が移動する際に必要な幅は0.7m程度あればおおよそ問題はないですが、物を持って移動する場合には1m程度確保した方が安全になります。

上記を考慮して可能な限り広めに検討できると、資料や人の移動についてリスクは低くなるでしょう。

6.作業場所の床から天井までの高さ

◆床から天井までの高さ:2m~2.7m

スキャニング作業において、スキャニング作業に適切な明るさを作業場所で整えることが重要となります。明るすぎても暗すぎても問題が出てきます。

外光が入り明る過ぎてしまう作業場所は光を遮る工夫を行う必要が出てきます。その場合には天井を利用して遮光等を行い光の調整をします。

床から天井までの高さが、一般的な事務所のように2~2.7m程度だと問題ないのですが、3mを超えるような高い天井になると、遮光等行うことが難しい場合があります。

スキャニング作業に適した環境を整えるためには、床から天井までの高さが高すぎない場所を検討した方が安全です。

まとめ

今回は施設内でデジタル化作業を行う際の様々な検討事項の内、「作業場所の広さ」について検討のポイントをご紹介しました。

冒頭で説明しました通り、デジタル化作業に必要な広さは、対象資料、仕様、工期等により決まります。

デジタル化作業を行う委託業者さんに対象資料や仕様、工期などを伝えて、作業に何人くらい従事するか、使用する機器はどのくらいの大きさになるか等を聞き取り、想定する作業場所の広さについて相談すると検討しやすくなると思います。

デジタル化作業場所については、以下の記事でも触れていますのでご参考ください。


  デジタル化の正確な見積の為に必要な情報とは。 —その4(作業場所・資料運搬 編)ー 貴重資料、紙資料のデジタル化計画にあたり、正確な費用の算出は大切な要素となります。デジタル化を行う委託業者さんに見積を依頼する際に、どのような情報を提供すればよいのでしょうか。ポイントをまとめました。 デジアカ



また、口頭やメールのみのやり取りでは共有できていない情報などが発生しやすいため、最終的に作業場所が決まった段階で、必ず委託業者さんに現地を確認してもらいデジタル化作業を安全に行うことができるか判断してもらうようにしましょう。



Hasegawa
Hasegawa
ニチマイの営業担当です。デジタルアーカイブに関して少しでも皆様のお役に立てるようにがんばります!