
アルバム資料をデジタル化するときに注意すべき点とは?
写真資料をデジタル化しようとする場合、写真資料が管理保管されている方法によってデジタル化の手法は変わってきます。
今回は写真資料を管理保管する場合に多く利用されているアルバム資料をデジタル化する際の注意点をまとめました。
アルバム資料は紙資料とは異なった資料形態となるため、アルバム資料をデジタル化する際には様々な注意が必要です。どのような点に注意が必要か確認してみましょう。
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人物や風景、建造物に様々な出来事などが一枚の画像として記録されている写真資料。
これらの写真資料は保管管理の為にアルバムに収納されて管理されている場合が多くあります。
写真資料は経年により写真の表面が金属面のように反射する銀鏡化現象や、退色などの劣化が進んでしまうことがあります。
劣化が進行する前にデジタル化をすることで、写真が持っている情報を正しく残すことが期待できます。
ただし、アルバム資料に収納されている写真資料をデジタル化するためには、紙資料のデジタル化とは異なった様々な注意点が必要になります。どのような注意が必要になるか確認してみましょう。
1.アルバムから写真を取り出してデジタル化する時の注意点
①アルバムから写真資料を取り出す
アルバムに収納されている写真資料をデジタル化する場合には、収納されているアルバムから写真資料を1枚ずつ取り外してデジタル化する方法と、アルバムに収納されている状態のままデジタル化する方法があります。
写真をアルバムから取り外して1枚ずつデジタル化する場合、一番重要なポイントは写真資料を安全にアルバムから取り外すことができるか判断する という点です。
アルバムでの写真収納方法は、写真のサイズに仕切られたフォルダーに挿入して写真を収納する方法や、昔のアルバムでは透明なシートを写真の上から貼り付けて写真資料を固定している場合や、アルバムに直接裏面で糊付けされている場合もあります。
透明なシートが写真の上から貼り付けられている、写真そのものがアルバムに直接糊付けされている場合には、写真資料をアルバムから剥がす作業が必要となるため、専門的な技術と知識がないと、アルバムから剥がす際に写真資料を破損してしまう可能性が非常に大きくなってしまいます。
また、貼り付けられていないフォルダーに挿入された写真資料でも、長期間フォルダーと写真が圧着していた場合、写真の画像面がフォルダーに張り付いてしまい、そのまま取り外すと画像面が破損してしまう恐れがあります。
このようにアルバムから写真資料を取り出す際には、どのような状態でアルバムに収納されているか、また写真資料を安全に取り出せる資料状態となっているか実際に資料に触れて確認を行うことが非常に大切です。
②点数管理
アルバムから写真資料を安全に取り出すことが可能で、写真1点ずつデジタル化を行う際には点数管理がとても重要となります。
アルバムに収納されていた場合には、写真資料の点数管理は、アルバム資料の冊単位で管理を行えますが、アルバムから取り出した場合は1枚ずつの細かい単位となりますので、どのように点数管理を行うか事前に決めておく必要があります。
写真資料にキャプション(撮影日時や写真資料に対する説明文など)や管理番号が裏面等に記載されていれば、リスト化等により管理できますが、そのような情報が無い場合には別途管理番号を付与するなど検討が必要になります。
2.アルバムに写真が収納されたままデジタル化する時の注意点
アルバムから写真資料を取り出すことが難しい場合、また、デジタル化後の管理方法がアルバムに収納された状態の方が適している場合には、アルバムに写真が収納された状態のままデジタル化することになります。
上記1のようにアルバムから写真資料を取り出すことがないため、比較的写真資料の点数管理はしやすいですが、デジタル化に際して以下の注意が必要です。
①写真フォルダーや写真の上から貼りついている透明シートの反射
フォルダーに写真資料が収納されている場合や、透明シートが写真の上から貼りついて写真を固定している場合、それらの素材がデジタル化の際のスキャナーのライトやデジカメのストロボなどに反射してしまい正しく画像データを取得することが困難な場合があります。
事前に反射してしまうアルバム資料か判断することは難しいため、受託業者さんに実際に資料を確認してもらい方法を検討することが大切です。
②アルバムから写真資料が剥がれてしまう
アルバムに写真資料が直接糊付けされている場合、糊の粘着力が経年で低下していてデジタル化作業の際にアルバムから剥がれてしまう場合があります。
その際に再度糊付けすることは写真資料への負荷をよく検討する必要がありますが、糊付けしない場合には、剥がれてしまった写真資料の管理方法を事前に決めておく必要があります。
もともと貼り付けられていた位置情報(アルバム名、ページ、ページ内位置情報等)と併せて1点単位で中性紙封筒等に入れて管理するなど、デジタル化作業中に剥がれてしまった場合に適切に対応できるようにしておきましょう。
3.アルバム資料の取り扱い注意点
アルバム資料と紙資料は形状が大きく異なります。そのため、アルバム資料をデジタル化する際に紙資料とは異なった注意点が必要になります。
①アルバム資料の取り扱い
写真資料がアルバムに収納されている方法は、前述の通りフォルダーに収納されているか、透明シートや糊付けにより写真資料が固定されている方法が主になります。
この状態のアルバム資料をデジタル化する場合には、アルバム資料のページを開いてデジタル化を行いますが、その際にアルバム資料のページとページが経年により貼りついてしまっている場合がありますので、ページを開く際には注意が必要となります。
また、アルバム資料が綴じられている材料がプラスチックのリング等の場合、プラスチックが経年劣化により破損し易くなっている場合があります。
アルバム資料のページを開く場合に綴じ部分に負荷が大きくかかってしまうとプラスチックのリングが破損してしまう場合がありますので取り扱いには十分注意が必要です。
②アルバム資料運送時の注意点
アルバム資料のデジタル化作業を受託者さんの作業場所で行う場合には、アルバム資料を車両等で運搬する必要があります。
アルバム資料は前述した通り、破損しやすい材料で綴じられている場合がありますので、搬送の際にはアルバム資料の状態を確認して、破損しやすい材料で綴じられている等、搬送時に資料が破損してしまう危険性がある場合には、緩衝材を多めに使用して梱包するなど対応策を検討しておきましょう。
4.デジタル化した画像データの品質をどのように確認するか
先述した通り、写真資料は経年劣化により色の退職などが進んでしまっている場合がります。
また、写真そのもののピントがぶれてしまっている、撮影時の条件が悪く再現性が悪い写真になっている等写真に問題があるのに、デジタル化した画像のみ見てしまうと、デジタル化が上手くいかなかったと勘違いしてしまう場合もあります。
そのため、デジタル化を行う委託業者さんと、写真資料をデジタル化した画像について品質の基準を予め決めておく必要があります。
具体的には、実際にデジタル化作業を行う前に写真そのものの状態の確認や、サンプルで画像データを作製し、色の再現性や画質などを委託業者さんと確認しておくとよいでしょう。
まとめ
貴重な写真資料が収納されているアルバム資料。デジタル化によって写真資料の情報保存や利便性の向上を図ることで、写真資料に新たな付加価値を与えることが期待できます。
しかし紙資料とは異なる資料形態のアルバム資料をデジタル化するためには様々な注意点があることが分かりました。
安全にアルバム資料をデジタル化できるように、本コラムを参考にしてみてください。
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