
カラー、グレースケール、白黒画像はどんな見え方になるの?実際に比べてみました!
紙資料のデジタル化を行う際には、画像の作製方法について仕様書で様々な事項(解像度/階調/認識サイズ/データ形式等)を定める必要があります。
でも、仕様書の文言だけでは実際どのような画像データが出来上がって、どのような見え方になるかわからないので不安 というようなことはないでしょうか?
そこで、今回はカラー、グレースケール、白黒の異なる階調の画像データが、どのような見え方をするのか比較してみました。
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紙資料のデジタル化を行う場合、多くは仕様書が定められて仕様書に基づきデジタル化作業が進められます。
仕様書では解像度(画像データの細かさ)/階調(カラーか白黒か等)/認識サイズ(読み取る資料のサイズ)/データ形式(TIFFやPDFなどの各形式)等が定められていると思います。
そのなかで階調は、デジタル化された資料の再現性を左右する重要な項目です。
階調の表現は大きくカラーと白黒に分けられ、階調値が多い方が資料の再現性が高くなりますが、ファイルサイズも大きくなります。そのため、デジタル化対象資料の特徴や画像データの利活用に適した階調を検討する必要があります。
しかし、実際の見え方を確かめるには事前に資料を用意して、デジタル化データ作製を行う委託業者さんに数種類の階調でサンプルデータを作製してもらい確認する必要がありますので時間と手間がかかってしまいます。
そこで、今回は様々な階調で作製した画像データがどのような見え方になるか実際に確かめてみました。
1.使用した画像データ検証用チャート及びデジタル化仕様等
今回確認用に作製した画像データは以下の機器及び仕様で作製しました。
1)対象資料(画像検証用チャート):
日本産業規格 JIS X6933 テストチャート No.2(A4サイズ)を2枚並べて(A3サイズ)スキャニングを実施
2)使用スキャナ:CopiBook Open System A2(i2S社製/原稿上向き式高精細ブックスキャナ)
3)デジタル化仕様:
①解像度:400dpi
②階調:24bitフルカラー/8bitグレースケール/白黒2値
③認識サイズ:資料サイズと同サイズ(実寸)
④データ形式:TIFF形式
4)確認方法
上記にて作製されたテストチャート画像データより、写真部分、文字部分、地図部分を拡大してディスプレイに表示された状況を比較しました。
※今回表示されてる画像は、ディスプレイでの表示状況となります。実際の画像データの再現性とは異なりますので予めご了承ください。
2.カラーチャートの見え方の比較
〇対象:テストチャートにあるカラーチャート部分を比較
1)24bitフルカラー


2)8bitグレースケール


3)白黒2値


24bitフルカラーでは、各色忠実に再現されていることがわかります。
8bitグレースケールと白黒2値は白黒画像になりますので、当然色彩の再現はできないのですが、8bitグレースケールでは白黒でも中間色を再現しているため、各色の濃淡は再現できています。
白黒2値は白と黒の2階調のみで再現されているので、各色の濃淡も再現性が低くなっていることがわかります。
デジタル化において、色の再現性が求められる資料であれば、24bitフルカラーを選択することになりそうですが、白黒資料で色の再現をそこまで求めることのない資料の場合には、8bitグレースケールと白黒2値の再現性を考慮して階調を選択するとよいでしょう。
3.印刷された写真の見え方の比較
〇対象:テストチャートにある写真部分を比較
1)24bitフルカラー


2)8bitグレースケール


3)白黒2値


24bitフルカラーでは、各果実や野菜の色彩が忠実に再現されています。
8bitグレースケールでは白黒画像ではありますが、中間色が再現されているため各果実や野菜を判別することが可能になっています。
しかし白黒2値では色の濃い部分が黒一色でつぶれてしまっており、各果実や野菜を判別することが難しいようです。
デジタル化を行う資料が写真資料である、もしくは資料に写真が含まれている場合には、24bitフルカラーもしくは8bitグレースケールでデジタル化を行うと再現性を保つことができそうですね。
4.地図の見え方の比較
〇対象:テストチャートにある地図部分を比較
1)24bitフルカラー


2)8bitグレースケール


3)白黒2値


色付きの地図資料では、海・川・湖・ダム等水が関連する場所が水色、山や森などは緑色で着色されており、色自体が意味を持っている場合があります。
また、等高線など細い線で表記されている情報も多い資料となります。
24bitフルカラーでは、細く表記されている川も水色で再現できているため識別することができます。
8bitグレースケールでは白黒画像のため、画像データから川を識別することは難しいことが分かります。しかし細く表記されている等高線もしっかりと再現できているので地図に表記されている情報は網羅できているといえるでしょう。
白黒2値では、細い線で表記されている等高線だけでなく、淡い色の文字で表記されている地名などは白くなってしまって再現されていません。
地図資料では、細い線1本でも再現されていないと地図の意味が変わってきてしまうため、地図が含まれているような資料をデジタル化する際には再現性を保つことができる階調を選択することが重要です。
5.階調別データ容量
24bitフルカラーの画像データでは、資料の色彩や文字の再現性に優れている分画像データのデータ容量は大きくなります。
白黒2値の画像データでは資料の再現性は落ちますが、画像データのデータ容量は小さくなっています。
資料の色彩や文字の再現性を高めたいと思っても、デジタル化した画像データを格納する先に容量の制限がある場合には、出来上がる画像データの容量も考慮しながら、階調を検討しなければなりません。
今回比較した画像データから、階調別に画像データ容量がどの程度になるか以下にまとめてみましたので、確認してみましょう。
階調 | データ容量 |
24bitフルカラー | 約110 MB |
8bitグレースケール | 約37 MB |
白黒2値 | 約4.6 MB |
※A4サイズ2枚並べA3相当の大きさの資料を実寸サイズ24bitフルカラーでスキャニングした場合の1ファイル当たりの画像容量となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
階調によって資料の色彩や文字の再現性に大きく違いがあることが確認できたのではないでしょうか。
どの階調でデジタル化を行うかは、資料の特性と利活用の目的によって定めることになりますが、保存が目的のデジタル化と業務の効率化を図るためのデジタル化では、階調はどのように定めた方が良いか、また保管できるデータ容量に制限がある場合など、判断が難しいこともあるかと思います。
そんな時はデジタル化作業の経験豊富なデジタル化業者さんに相談してみましょう。きっと役に立つアドバイスをいただけると思います。











