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複製フィルムはもう作れない、、酸っぱいニオイのするマイクロフィルム、このまま持っていていいの?対処法をまとめました。

 昨年マイクロフィルムの材料の供給停止が、製造元である富士フイルム株式会社より発表されました。
既にマイクロフィルムの材料について最終注文が締め切られたため、それに伴いマイクロフィルムの作製(撮影)や所有しているマイクロフィルムの複製を新たに行うことは難しい状況となりました。

劣化してしまっているマイクロフィルムについて複製フィルムの作製が完了している、もしくは目途がついているのであればよいのですが、酸っぱいニオイがでているような、劣化したマイクロフィルムがそのまま残っている場合、このままの状態でよいのでしょうか。
今回は劣化したマイクロフィルム、特に酸っぱいニオイ(酢酸臭)がでているマイクロフィルムへの対処法についてまとめてみました。

目次[非表示]

  1. 1.なぜマイクロフィルムから酸っぱいニオイが出てくるの?
  2. 2.酸っぱいニオイをそのままにしてはダメ! その影響とは?
    1. 1)人体への影響
    2. 2)保管されている資料への影響
    3. 3)マイクロフィルムが保管されている周辺設備への影響
  3. 3.酸っぱいニオイがしているマイクロフィルムへの対処方法
    1. 1)重要度が高い劣化マイクロフィルムへの対応
    2. 2)重要度が低いマイクロフィルムへの対応
  4. 4.劣化しているマイクロフィルムはデジタル化できるの?
  5. まとめ
  6. 参考URL

1.なぜマイクロフィルムから酸っぱいニオイが出てくるの?

一般的にマイクロフィルムの劣化として多くみられるのは、ロールフィルムのTACベースフィルムにおける劣化現象で、俗にいうビネガーシンドロームという現象になります。
マイクロフィルムの劣化についての詳しい説明はこちら!

ビネガーシンドロームとは、空気中の水分や熱などによってTACベースが加水分解という化学反応を起こし酢酸ガスを発生させる現象のことです。

この現象によりマイクロフィルムから酸っぱいニオイが発生したり、フィルムのべたつきや波打ちなどの形状変化を生じさせます。
また、ビネガーシンドロームが進行すると、マイクロフィルムを巻いているプラスチックリールが溶けてしまうほどの酢酸が発生する場合もあります。

このような劣化現象が多くみられるTACベースのマイクロフィルムは、1990年の中頃から劣化しにくいPETベースのマイクロフィルムへ移行されました。

そのため酸っぱいニオイがでているマイクロフィルムは1990年以前に作製されたものが多くなっており、酸っぱいニオイが出ていなくても1990年以前に作製されたマイクロフィルムは保管環境が適切でない場合には、いずれ酸っぱいニオイが出てくる可能性がありますので保管には注意が必要です。

2.酸っぱいニオイをそのままにしてはダメ!
 その影響とは?

前述の通りマイクロフィルムから発生する酸っぱいニオイの正体は酢酸ガスです。マイクロフィルムから発生した酢酸ガスが周辺環境へ及ぼす考えられる影響は以下の通りです。

1)人体への影響

強い酢酸ガスは目やのどに入ると痛みを伴う場合があります。
また、肌が露出していると酸に弱い肌の人は、肌荒れの症状が出てしまったりすることがあります。

酢酸ガスそのものについての規定ではありませんが、日本産業衛生学会 許容濃度等の勧告(2024年度)では酢酸の許容濃度について10ppmと定めていますので、一つの目安として考えてよいでしょう。

また酢酸ガスの酸っぱいニオイは不快に感じる人が多く、酢酸ガスが発生している環境では、資料の利用や仕事にも影響を及ぼす可能性が高いといえるでしょう。

2)保管されている資料への影響

①紙資料への影響
劣化したマイクロフィルムから発生している酸っぱいニオイは酸性であるため、紙資料へ悪影響を及ぼすといわれています。昔の書籍などで酸性紙が使用されている資料などは、さらに酸化が進んでしまい劣化が促進される危険性があります。

②マイクロフィルムへの影響
酸っぱいニオイが発生するほど劣化していないTACベースマイクロフィルムでも、酢酸ガスの影響により高い確率で劣化現象が進行してしまうと考えられます。

③その他保存資料への影響
上記資料以外にも酸化による劣化の危険性がある資料は、劣化したマイクロフィルムから発生する酢酸ガスに触れると劣化が促進してしまう恐れがあります。

3)マイクロフィルムが保管されている周辺設備への影響

劣化したマイクロフィルムから発生した酸性の酢酸ガスは、マイクロフィルムが保管されている周辺の設備等を酸化させてしまい、さらに損傷させてしまう恐れがあります。

マイクロフィルムを収納しているキャビネット等の収納保管庫はもとより、保管場所の壁や照明機器などが変色や錆びてきてしまう場合があります。

空調機器などへの影響も大きく、エアコンの送風口から酢酸ガスが入ってしまい空調が壊れたりダクトが錆びてしまったりして、大掛かりな修繕が必要になってしまうケースもありますので注意が必要です。

3.酸っぱいニオイがしているマイクロフィルムへの対処方法

酸っぱいニオイがしているマイクロフィルムをそのまま放置していると、様々な悪影響が出てしまいそうです。

そのため酸っぱいニオイがしてしまったマイクロフィルムへの対応策を考えておく必要がありますが、劣化したマイクロフィルムが保管しているみなさんにとって、どのくらい重要な位置づけになっているかによって対応策が変わってきます。

1)重要度が高い劣化マイクロフィルムへの対応

重要度が高いということは、今後もマイクロフィルムに収録されている情報を残していく必要性があるということになります。

一番安価な対策は劣化したマイクロフィルムから複製マイクロフィルムを作るということですが、残念ながら前述の通り材料の供給停止に伴い複製マイクロフィルムを新たに作製することはできません。

複製マイクロフィルムを作製する以外に、劣化したマイクロフィルムの収録情報を残す方法はデジタル化となります。デジタル化することによりマイクロフィルムよりも利便性が高まりますが、劣化したマイクロフィルムの形状変換が激しい場合には、デジタル化することも難しい場合があるので、マイクロフィルムの劣化がこれ以上進行しないうちに、早めの検討とデジタル化の実施が必要になってきます。

またデジタル化に際しては、マイクロフィルムの収録内容が著作物等であった場合著作権の処理が必要になる場合がありますので注意が必要です。

2)重要度が低いマイクロフィルムへの対応

酸っぱいニオイが出ている劣化したマイクロフィルムの重要度が低い場合、人体や他の保管資料及び周辺環境などへの影響を考えると、酸っぱいニオイが漏れてこないような措置を行い保管することを検討しましょう。

酸っぱいニオイが漏れてこない具体的な方法はいくつか考えられますが、劣化したマイクロフィルムを段ボールにいれて厚手のポリエチレン製の袋などで密封するか、気密性の高い湿度が調整できるようなキャビネット等に入れて保管することが考えられます。

ただしどの方法も密封することになりますので、収納されている劣化したマイクロフィルムは、発生した酸性ガスでまたさらに劣化が促進され酢酸ガスを更に発生させるという状況になります。

そのため酢酸ガスの発生量が増えてしまい密封しているつもりでも、酸っぱいニオイが漏れてきてしまうことがありますので経過を観察する等の注意が必要です。

一度劣化してしまったマイクロフィルムの劣化は止まることはなく、進行するのみですので、酸っぱいニオイを完全に封じ込めることが難しい場合には廃棄することも視野に検討する必要があります。

4.劣化しているマイクロフィルムはデジタル化できるの?

形状変化してしまったマイクロフィルムは、マイクロフィルムをデジタル化するための機器に正しくセットすることが難しく、機器にセットできたとしても形状変化していることによりデジタル化の際のピントが合わず、文字の判読が難しくなってしまい品質の低いデジタル画像となってしまう場合があります。

形状変化しているマイクロフィルムのデジタル化を行うことは上記の通り難しいのですが、マイクロフィルムの複製が困難な場合に行われていたマイクロフィルムの平面化等の修復技術を用いることにより、劣化したマイクロフィルムをデジタル化に適したマイクロフィルムにしてからデジタル化することも可能な場合があります。

もしそのような劣化しているけれどもデジタル化をしたいマイクロフィルムがありましたら当社へご相談ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

マイクロフィルムは、長期間にわたり安定して保存可能なことや、原本性(マイクロフィルムの情報を改ざんすることはほぼ不可能)に優れていることから、デジタル化が主流となっている現在も長期保存が可能なメディアとして採用されてきましたが、ニオイが発生しているような劣化したマイクロフィルムはそのまま放置しないことが大切であることが分かってきました。

当社では創業以来70年以上にわたりマイクロフィルム関連サービスを提供しており、豊富な実績と経験で皆様のお悩みを解決してまいりました。

お持ちになっているマイクロフィルムからすっぱいニオイが出てきているなど、お困り事がございましたらお気軽にご相談ください!

参考URL

・国立国会図書館 マイクロフィルム保存のための基礎知識

https://www.ndl.go.jp/file/preservation/collectioncare/care_micro/microfilm2019.pdf

・映画保存協会

日本産業衛生学会 許容濃度等の勧告(2024年度)

https://www.sanei.or.jp/files/topics/oels/oel_2024.pdf

Hasegawa
Hasegawa
ニチマイの営業担当です。デジタルアーカイブに関して少しでも皆様のお役に立てるようにがんばります!