
スペインの画家、ジョアン・ミロ(Joan Miró:1893-1983)の展示から思うこと
2026年もすてに半年が終わろうとしています。トランプ政権発足後2年目に入り、米国は益々混迷の一途をたどっています。現政権による昨年の政府機関の職員の大量解雇、そして世界の各地のおける戦争や、AIの導入などのいろいろな影響の中で、米国内での州や郡といったレベルや民間企業でも人員解雇が進んでいます。また公立、私立を問わず大学レベルでも人員整理や研究費の縮小が進み、博士課程に進みたくても研究費が出ないようなのでさらなる進学をあきらめた学生達も少なくなく、またせっかく博士課程入学の合格を手にしたにもかかわらず大学側の研究費が確保できないためにその合格そのものを取り消されてしまったといったひどい話も聞いています。また、日常生活においても、ガソリン、食料他すべての物価がどんどん高くなっており、とても生きにくい時代になってきたなあと思うこの頃です。
さて先日たまたま1950年代の写真を見る機会があったのですが、下の1枚が目に留まりました。これは1959年5月18日に当時のドワイト・D・アイゼンハワー大統領(Dwight D. Eisenhower:写真左)が、ホワイト・ハウスで、スペインの芸術家のジョアン・ミロ(Joan Miró:写真中央)に1958年度グッゲンハイム国際賞を授与している様子です。ミロの右隣りにいるのは、ハリー・F・グッゲンハイム(Harry F. Guggenheim)で、叔父のソロモン(Solomon Robert Guggenheim)が作ったニューヨークのグッゲンハイム美術館を継いだ人物であり、彼らの後ろの左が、グッゲンハイム美術館のデイレクターのジェームズ・ジョンソン・スウィーニー (James Johnson Sweeney)、そして彼の隣がスペイン大使のホセ・M・デ・アレイサ(Jose M. de Areilza)です。

このグッゲンハイム国際賞の受賞は、パリにあるユネスコ本部内に設置された、ジョアン・ミロと友人の陶芸家ジョゼップ・リュイス・アルティガス(Josep Llorens Artigas)の共同制作作品である『太陽の壁』(Wall of the Sun)と『月の壁』(Wall of the Moon)という2つの陶板壁画が高く評価された結果でした。
ジョアン・ミロ(Joan Miró:1893-1983)の作品は、世界によく知られており、日本でもこれまで何回か展示がされて昨年でも大きな回顧展が開催されていたかと思います。上記の写真を見て、「そういえば、ワシントンDCのフィリップス・コレクションで今春から始まったこのジョアン・ミロの展示が今も開催されているはず。」と思い出し、早速そこに行ってみました。

米国でもミロの人気はすでに戦前から高まっていましたが、ミロが初めて米国を訪れたのは1947年のことで、米国の若手の芸術家達と交流をしました。それをきっかけとして、同年、ミロが、米国のシンシナティの「テラス・プラザ・ホテル(Terrace Plaza Hotel)」の最上階にあったレストランのために制作した壁画が、上記の作品です。1956年にこのホテルは売却されることになり、この作品は、シンシナティ美術館に所蔵されました。この作品が制作された年は、戦後から2年経って世界が前向きになっている時代背景もあるかもしれませんが、宇宙船かなと思われるものであったり、目の形をした乗り物のようでもあったり、ふわふわとカラフルなものが浮かんでいる不思議な世界は宇宙であり、無限の広がりを持っている世界を表していると思えました。

この作品は、『黄昏に微笑むダイヤモンド』というタイトルで、そのタイトルそのものがなんともおしゃれで遊び心にあふれているものだと思いました。この制作も1947年となっています。夜空に輝く星や月を描いたものだと思いますが、なんだか音楽が奏でられているようにも見え、夜空の世界が幻想的でもあり楽しいものでもあると思えてきました。次元はまったく異なるのですが、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』もふと思い出してしまいました。
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