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デジタルアーカイブの構築・運用における課題とは? 構築する必要性やメリットはあるのか


近年、官公庁や自治体、民間企業などによってさまざまなデジタルアーカイブが構築されています。公文書や図書、貴重書、歴史資料などの知的資産を電子化して保存・共有できる仕組みを適切に構築することは、長期にわたって利用可能性を保つことにつながります。

しかし、知的資産を持つ組織においては、人材や技術などの問題からデジタルアーカイブの構築が進まないケースも見られています。

「デジタルアーカイブにはどのような課題があるのか」「デジタルアーカイブは本当に必要なのか」と疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

この記事では、デジタルアーカイブの課題や必要性、構築するメリットについて解説します。


目次[非表示]

  1. デジタルアーカイブの構築・運用における課題
    1. 専門人材や予算の不足
    2. 著作権や肖像権、プライバシーの扱い
    3. 定期的な品質チェックとメンテナンスの実施
  2. デジタルアーカイブの必要性
    1. 社会的課題を解決する基盤になる
    2. 遠隔でコンテンツを利活用する環境整備が求められている
    3. 災害による資料の破損・消失を防ぐ
  3. デジタルアーカイブによるメリット
  4. まとめ


デジタルアーカイブの構築・運用における課題

デジタルアーカイブの構築・運用にあたっては、人材や予算、権利関係、メンテナンスに関するさまざまな課題があります。


専門人材や予算の不足

専門知識・技術を持つ人材や予算が不足している場合には、デジタルアーカイブの構築が進まないことがあります。

デジタルアーカイブの構築には、多岐にわたる専門知識や技術が求められます。また、電子データを利用可能な状態で維持できるように保存したり、利用しやすい形式で提供したりする必要もあります。

安定的な運用体制を整備するには、保守運用のための人材・予算・技術に対するリソースを確保することが欠かせません。構築前には、以下の準備をしておくことが重要です。


▼デジタルアーカイブを構築するための準備

  • 保存方針を決めるために、原資料の電子化やイメージデータのバックアップなどにかかるコストと、原資料を保存して再撮影をするコストを比較検討する
  • 作成したデジタルデータの管理を行う管理部門・管理者を配置する
  • データの保存方針・計画を策定する
  • デジタルアーカイブの運用・技術管理ができる人材を育成する


著作権や肖像権、プライバシーの扱い

デジタルアーカイブを適切に運用するためには、著作権・肖像権・プライバシーの保護に関する扱いについて考慮する必要があります。


▼デジタルアーカイブに求められる対応

  • 著作権保護期間・権利者・利用条件・ライセンスなどをメタデータとして管理する
  • データ移行やほかの機関へのデータ譲渡に対応できるように、包括的な権利処理を行う(譲渡契約、オープンライセンスの付与など)


著作権に関しては法的基盤の整備で対応できますが、肖像権・プライバシー権については法律上明文化された権利ではないため、明確な基準を見い出すことは難しくなります。

デジタルアーカイブを運用する際は、データの内容に応じて適切な公開範囲や利用条件を設定できるシステムを構築することが求められます。


定期的な品質チェックとメンテナンスの実施

定期的な品質チェックとメンテナンスが必要になることも、デジタルアーカイブを構築・運用する際の課題の一つです。

デジタルアーカイブに含まれる電子データは、紙の資料や文書とは異なり、データの消失・劣化に気がつきにくいといえます。また、保存したデータを閲覧するための機器・OSが最新版に変化すると、データにアクセスできなくなるリスクもあります。

このような問題を防ぐには、定期的にデータの品質チェックを行い、アクセスするための機器やアプリケーションなどを適宜アップデートしていくことが必要です。

なお、デジタルアーカイブのシステム自体も数年ごとのリプレースが必要となり、運用コストが発生します。導入時には、運用・維持コストを洗い出しておくことが重要です。



デジタルアーカイブの必要性

組織が保有する知的資産を守り、長く利活用ができるようにするために、デジタルアーカイブの構築が求められています。ここからは、なぜデジタルアーカイブが必要とされるのかについて解説します。


社会的課題を解決する基盤になる

歴史資料や作品、貴重書などの文化的・学術的・社会的資源は、社会的課題を解決していくための基盤となります。

しかし、紙媒体の資料は、経年劣化や閲覧などによって破損・消失してしまうリスクがあるほか、管理が煩雑化しやすくなります。組織が保有する知的資産を長く利活用できるようにするには、長期保存や情報共有ができるデジタルアーカイブの構築が望まれます。


遠隔でコンテンツを利活用する環境整備が求められている

新型コロナウイルス感染症の流行を機に、テレワークや遠隔教育が広まりました。これを受けて、自宅や学校などから多様なコンテンツにアクセスする需要が急速に高まっています。

このような遠隔での活動を可能にする社会の実現に向けて、デジタル技術を用いてコンテンツを利活用できる環境を整備することが求められています。


災害による資料の破損・消失を防ぐ

資料の破損・消失を防ぐためにも、デジタルアーカイブの構築が必要です。

近年、災害によって貴重な文化財が消失してしまうトラブルが見られています。現物資料の保存に加えてデジタルアーカイブを構築することは、文化的資源を災害から守り、次の世代へと受け継いでいくことにもつながります。



デジタルアーカイブによるメリット

公文書や図書、貴重書、歴史資料などの知的資産を電子化して、デジタルアーカイブを構築することで、さまざまなメリットが期待できます。


▼デジタルアーカイブによるメリット

  • 資料名・年代・保管場所などを一元管理できる
  • 現物情報資産の劣化・破損を防げる
  • 時間や場所を気にせず閲覧できる
  • 検索が容易になる


デジタルアーカイブを構築すると、資料名・年代・保管場所などの情報を一元管理できるようになり、知的資産を整理しやすくなります。また、現物資産を閲覧・利用する機会を減らすことで、劣化・破損を抑制できます。

そのほか、時間や場所にとらわれずに情報収集・共有がしやすくなるほか、必要な資料をスピーディに検索することが可能です。これにより、知的資産の利活用がさらに進むことが期待できます。

デジタルアーカイブのメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

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まとめ

この記事では、デジタルアーカイブについて以下の内容を解説しました。


  • デジタルアーカイブの構築・運用における課題
  • デジタルアーカイブの必要性
  • デジタルアーカイブによるメリット


知的資産を長く利活用して社会的課題の解決につなげたり、災害による現物資料の破損・消失を防いだりするためにデジタルアーカイブが必要とされています。

デジタルアーカイブを構築することで、知的資産の一元管理が可能になるほか、場所・時間を気にせずに情報共有・収集ができるため、さらなる利活用が進むと考えられます。

ただし、デジタルアーカイブの構築・運用には、人材・予算が必要になるほか、著作権や肖像権などに考慮すること、定期的な品質チェックとメンテナンスが必要になることなどの課題もあります。

目的や分野に適した使い勝手のよいデジタルアーカイブを構築するには、専門企業に任せることがおすすめです。

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