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写真フィルムをデジタル化するメリットや方法、注意点とは

近年では、スマートフォンの普及によってデジタル機器を用いて簡単に写真を撮れるようになりました。そのため、個人で撮った写真をデジタルコンテンツとして、デジタルアーカイブを行う機関が収集することも考えられます。

そうしたなか、自治体・図書館・美術館・民間企業などの団体・文化的施設においては、フィルムカメラで撮影された写真が歴史的・文化的な知的資産として保管されています。このような歴史的・文化的な写真は国民共有の情報資産となるため、次世代へと継承していくことが重要な課題の一つとされています。

企業・団体の担当者のなかには、保有する歴史写真や文化財写真などの公開と利活用の促進に向けて、写真・写真フィルムのデジタル化を検討している方もいるのではないでしょうか。

この記事では、写真フィルムをデジタル化するメリットや具体的な方法について解説します。


目次[非表示]

  1. 写真フィルムのデジタル化とは
  2. 写真フィルムをデジタル化するメリット
    1. ①原資料の破損・汚損を抑制できる
    2. ②情報資源を広く共有・公開できる
    3. ③写真の細部を見れるようになる
  3. 写真フィルムをデジタル化する方法
  4. 写真フィルムをデジタル化する際の注意点
    1. 著作権やプライバシー権に注意する必要がある
    2. 劣化や破損の状態によっては高度な技術が必要になる
  5. まとめ


写真フィルムのデジタル化とは

写真フィルムのデジタル化とは、フィルムカメラで撮影した際の写真フィルムや、原資料となる写真そのものをデジタルデータにして、閲覧・保存・共有できるようにすることです。

デジタル化する対象には、アナログな資料に分類される以下のようなものが挙げられます。


▼デジタル化の対象となるもの

対象

写真フィルム

  • ネガフィルム・ポジフィルム
  • 白黒フィルム
  • マイクロフィルム
  • 35mm、ブローニーサイズフィルム
  • シートフィルム(4×5、5×7、8×10) など

現像された写真

  • 美術館での展示写真
  • 文化財写真
  • 自治体の歴史写真 など


なお、マイクロフィルムのデジタル化作業についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

  マイクロフィルムのデジタル化【作業編】 -ポイントとなる作業項目について- マイクロフィルムのデジタル化【作業編】として、ポイントとなる作業内容について簡単にご説明させていただきます。 デジアカ



写真フィルムをデジタル化するメリット

貴重な知的資産として歴史的・文化的な写真を受け継いでいくために、写真フィルムのデジタル化が必要です。

デジタル化するメリットには、次の3つが挙げられます。


①原資料の破損・汚損を抑制できる

1つ目のメリットは、原資料の破損・汚損を抑制できることです。

写真フィルムをデジタル化すると、原資料の複製物として写真を閲覧・利用できます。現物の写真フィルムや現像された写真を利用する機会を減らすことで、破損・汚損を抑制して長期にわたっての保存が可能になります。


②情報資源を広く共有・公開できる

2つ目のメリットは、情報資産を広く共有・公開できることです。

自治体や美術館、博物館などに保管・展示されている写真をデジタル化して、デジタルアーカイブとしてインターネット上で収集・閲覧できる環境を構築すると、多くの人に情報資産を見てもらえるようになります。

また、展示スペースや展示期間の制限によって公開できない写真も公開できます。場所・時間の制約がなく写真を閲覧できるようになれば、情報資産の価値が広く認識されて、研究やメディア掲載などの二次利用が促進されると考えられます。


なお、デジタルアーカイブの基礎知識についてはこちらの記事で解説しています。

デジタルアーカイブの基礎知識。どのようなことに活用できるのか

  デジタルアーカイブの基礎知識とは。どのようなことに活用できるのか デジタル技術の進展により、IoTやAIによるビックデータの活用、知識・情報の共有が進む社会が到来しています。そうしたなか、デジタルアーカイブはあらゆる組織・団体・文化的施設が保有する知的資産の共有基盤となり、イノベーションの源泉となることが期待されています。 しかし、国内におけるデジタルアーカイブの構築は一部の組織にとどまっており、貴重な知的資産の共有や利活用は十分に進んでいない状況です。 組織や団体の担当者のなかには「デジタルアーカイブを構築する意義は何なのか」「どのような活用方法があるのか」などと疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。 この記事では、デジタルアーカイブの基礎知識やメリット・デメリット、作り方、活用方法について解説します。 デジアカ


③写真の細部を見れるようになる

3つ目のメリットは、写真の細部を見れるようになることです。

細かな描写がある大判写真や、ガラス越しによる展示では見にくい写真であっても、高精細のデジタル画像にすることで、細部まで確認できるようになります。

また、高解像度のデジタル画像にすると、細かな描写部分をパソコンやスマートフォンなどで拡大して閲覧することも可能です。これにより、情報資産の価値向上や利用者の利便性向上につながると考えられます。



写真フィルムをデジタル化する方法

写真フィルムや現像された写真をデジタル化するには、スキャナーを用いてデジタル画像を作製する必要があります。

デジタル化した画像を複製物として展示するのか、デジタルアーカイブで公開するのかによって適した解像度や階調が異なるため、目的に合わせてデジタル画像を作製することがポイントです。

また、スキャナーを用いて独自でデジタル化する方法のほかに、専門会社に作業を依頼する方法もあります。



写真フィルムをデジタル化する際の注意点

写真フィルムをデジタル化する際は、著作権やプライバシー権、スキャンによる破損のリスクに注意する必要があります。


著作権やプライバシー権に注意する必要がある

写真のなかには撮影者に著作権の権利が発生する場合があるほか、著作権保護期間が満了している写真においてもプライバシー権への配慮が必要です。

保有する情報資産をデジタル化して共有・公開する際は、著作権やプライバシー権に基づいて公開範囲と二次利用の条件を設定することが重要です。


劣化や破損の状態によっては高度な技術が必要になる

写真フィルムの劣化が進んで変形・硬化してしまっている場合には、デジタル画像を作製する際に破損のリスクがあります。スキャンを行う際は、慎重に原資料を取り扱うことが重要です。

また、劣化の状態によっては平面化をはじめとする特殊な技術を用いた修復作業が必要になるケースがあります。再現性が高く高品質なデジタル画像を作製するには、専門会社に依頼することも一つの方法です。



まとめ

この記事では、写真フィルムのデジタル化について以下の内容を解説しました。


  • 写真フィルムのデジタル化に関する概要
  • 写真フィルムをデジタル化するメリット
  • 写真フィルムをデジタル化する方法
  • 写真フィルムをデジタル化する際の注意点


写真フィルムをデジタル化すると、原資料の破損・汚損を抑制できるほか、情報資源を広く共有・公開できる、写真の細部が見られるようになるなどのメリットがあります。

ただし、著作権・プライバシー権に配慮することや、劣化・破損の状態によっては高度な修復技術が必要になることもあります。安全に高品質なデジタル画像を作製するには、専門会社に依頼することがおすすめです。

デジアカ』では、さまざまな資料やマイクロフィルム、写真フィルムなどのデジタル化をサポートしております。創業70年にわたって培った技術と高性能な専用機器を用いて、高品質なデジタル画像を作製いたします。


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