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デジタル記録媒体の保存について考える

今回はデジタル化作業で、選ばれてきた記録媒体とそれらの長期保存について考えてみました。
ここ20~30年の記録媒体としては、光ディスクで始まり、近年では外付けのハードディスクやクラウド利用も増えてきています。
光ディスクはCDからDVD、BDと容量を増やして行き、長期保存する方法としての規格化もされてきました。
外付けハードディスクやクラウドの利用などは、システムへの投入が容易であることから、選ばれている場合が多いいようです。
大量のデータを長期保存する場合は、磁気テープ(LTO)変換での保存や、マイグレーションを計画的に実行するなどが挙げられます。


  デジタル化の長所と短所 デジタル化の長所と短所をあらためて考える。 デジアカ


目次[非表示]

  1. 記録媒体
    1. 光ディスク
    2. 外付けハードディスク
    3. 磁気テープ
  2. 保存環境
    1. 光ディスク
    2. 磁気テープ
    3. 外付けハードディスク
  3. 長期保存
    1. 光ディスク
    2. 長期保存用光ディスク
    3. 磁気テープ
    4. マイグレーション
  4. まとめ


記録媒体

光ディスク

光ディスクは大きくはCD・DVD・BDに分けられます。
容量はCDで670MBや700MBなど、DVDが1層4.7GB、BDが1層25GB、2層(両面)であればその倍となりました。
それぞれに追記型(Recordable:R)、書換型(ReWritable:RW)、再生専用型(Read only memory:ROM)があります。
現在ではCDでの納品は少なく、作業容量に応じてDVDやBDが選ばれています。


外付けハードディスク

パソコンに内臓されているHDDとは別に、外付けで設置できる磁気ディスクドライブです。
ACアダプターでの給電とUSB接続で利用でき、容量は数十TBまでの製品が販売されています。
数TB程度であれば、USB接続のみで使用ができる、手のひらサイズのポータブルHDDもあります。


磁気テープ

磁気テープには、いくつかの仕様がありますが、ここではデータ用のLTO(Linear Tape-Open)を取り上げています。
LTOには世代があり、2000年に発売された「LTO-1」から2019年発売の「LTO-9」まで、製品化が進んでいます。
容量は第1世代で100GBであったが、第9世代では18TBを実現しました。
またこの先、第14世代までロードマップが策定されており、「LTO-14」では576TBの容量になることを見越しています。


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保存環境

光ディスク

光ディスクの保存環境は、JIS Z 6017:2013表3にて示されています。

※JIS Z 6017:2013(電子化文書の長期保存方法)表3より引用


磁気テープ

磁気テープの保存環境は、JIS Z 6019:2018表1にて示されています。

※JIS Z 6019:2018(磁気テープによるデジタル情報の長期保存方法 )表1より引用


外付けハードディスク

パソコンに内臓されているHDDと同様に、高速で回転させながら磁気ヘッドでデータを読み書きする記録媒体です。
故に振動や衝撃に脆弱であり、読み書き時にパソコンから抜いたりするとデータが壊れたりする危険性があります。
また可動部の消耗や劣化等も考えられるので、大切なデータ保存用の記録媒体としてはお勧めできません。


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長期保存

光ディスク

データを記録した光ディスクは、初期品質検査や記録後の定期品質検査として、ディジタルデータエラーを測定することがJIS Z 6017:2013表1表2で示されています。


※JIS Z 6017:2013(電子化文書の長期保存方法)表1より引用


※JIS Z 6017:2013(電子化文書の長期保存方法)表2より引用


長期保存用光ディスク

長期保存用途として特別に設計され、厳しい管理水準で選別された高品位な記録型光ディスクです。
適正なドライブにより良好な初期記録品質が得られていれば、室温保存で30年以上の推定寿命を持つとされています。
公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)より、「長期保存用光ディスクを用いたアーカイブガイドライン」としてメリットや事例、具体的な方法が示されています。
参考URL:https://www.jiima.or.jp/pdf/Opticaldisk_acive_guideline201310.pdf


磁気テープ

記録された信号自体は長期保存試験にて 20 年以上の寿命が検証されており、また 30 年以上の見読性を維持している実績があります。
しかしドライブ、ソフトウェアなどシステム寿命を考慮し、10 年毎を目処に新しいシステムへデータ移行するよう推奨しています。
こちらも公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)より、「磁気テープを用いたアーカイブガイドライン」として詳細が述べられています。
参考URL:https://www.jiima.or.jp/pdf/MagneticTape_Archive_guideline_201503.pdf


マイグレーション

マイグレーションとは、あるタイプの媒体に保存された情報を別の媒体に変換する処理のことです。(出典:JIS Z 6015:2022の4.92)
英単語では移動や移行を意味します。
システムや記録媒体などを刷新することで、効率やセキュリティーの向上に繋がり、メンテナンスなどの運用費を抑える効果も生まれます。



まとめ

デジタル記録媒体の長期保存を考える際には、メディアや機器、ソフトウェアの寿命を考えなくてはなりません。
ここで挙げなかった光ディスク以前の記録媒体である、フロッピーディスク(FD)や光磁気ディスク(MO)が良い例です。
光ディスクの品質検査や長期保存用光ディスク、磁気テープなども、いつかは同じようなことになると想定する必要があります。
それらの寿命が早く来るか、ゆっくり来るかは未知ではありますが、必ず訪れることでしょう。
よってデジタル記録媒体の長期保存では、現在利用されている記録媒体に定期的にマイグレーションすることが重要だと考えます。
利用できる環境で常に保存を考え、計画的にマイグレーションを実行することが、有効的な長期保存であると思われます。
ニチマイでは、記録媒体の保存についてのご相談もお受けしております。
お気軽にお問い合わせください。




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参考文献

・JIS Z 6017:2013(電子化文書の長期保存方法)
・JIS Z 6019:2018(磁気テープによるデジタル情報の長期保存方法 )
・公益社団法人日本文書情報マネジメント協会 文書情報マネジメント概論
・公益社団法人日本文書情報マネジメント協会 文書情報マネジメント用語辞典
・公益社団法人日本文書情報マネジメント協会 「長期保存用光ディスクを用いたアーカイブガイドライン」
・公益社団法人日本文書情報マネジメント協会 「磁気テープを用いたアーカイブガイドライン」





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