文化財のデジタルアーカイブを構築して新たな価値創出!
美術館・博物館・自治体などで管理・保管されている美術作品や学術資料、古文書などの文化財は、国民における共有の知的資産です。
貴重な知的資産を次世代に継承して、分野・地域を超えて利活用できる環境をつくるために、文化財の共有基盤となるデジタルアーカイブを構築する取り組みがさまざまな団体・文化的施設で進められています。
文化財のデジタルアーカイブ化を検討している担当者のなかには、「どのようなメリットを得られるのか」「どのような方法でデジタル化やシステム構築を行うのか」と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、文化財をデジタルアーカイブ化するメリットや方法、事例について解説します。
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文化財のデジタルアーカイブ化によってもたらされるメリット
文化財をデジタルアーカイブ化すると、研究開発や教育などのあらゆる分野で知的資産の利活用が進むことが期待されます。
主なメリットには、以下の4つが挙げられます。
①地域を超えて閲覧・利用できる
1つ目のメリットは、地域を超えて文化財を閲覧・利用できることです。
デジタルアーカイブによって文化財をデジタル化すると、展示場所に関係なくインターネットを介して閲覧・利用できるようになります。
時間や地理的な問題で美術館・博物館などに出向くことが難しい人でも、いつでもどこでも情報収集を行えるため、利活用の促進が期待できます。
また、海外発信のための機能を備えれば、海外での日本研究やインバウンドの促進にもつながると考えられます。
②展示場所やスペースの制限がなくなる
2つ目のメリットは、展示場所やスペースの制限がなくなることです。
文化財の情報をデジタル化してインターネット上で閲覧できるようにすると、展示場所やスペースの制限によってこれまで展示できなかった文化財を公開することが可能です。
また、美術館や博物館でデジタルアーカイブにアクセスできる情報端末を設置すると、文化財の検索・情報収集が行えるようになり、利用者の利便性が向上します。
③文化財の破損や劣化の進行を抑制できる
3つ目のメリットは、破損や劣化の進行を抑制できることです。
デジタルアーカイブを構築すると、現物の文化財を利用しなくてもデジタル化したコンテンツを閲覧・利用できるようになります。これにより、現物の作品・資料を展示したり、利用したりすることによる破損や劣化の進行を抑制できます。
④文化財の情報価値を高められる
4つ目のメリットは、文化財の情報価値を高められることです。
デジタルアーカイブを構築する際には、デジタル化した文化財のコンテンツに対する詳細な解説情報を付与したり、音声によるガイド機能を付与したりすることが可能です。
これにより、文化財の利用価値が高まり、閲覧・鑑賞のみならず学術研究や教育、観光、出版などの分野において幅広い活用が促進されることが期待できます。
なお、情報価値を高めるデジタルアーカイブのストーリーについては、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
文化財をデジタルアーカイブ化する方法
文化財をデジタルアーカイブ化するには、モノや紙媒体の資料・作品をデジタル化して、それらのコンテンツをインターネット上で蓄積・保存・閲覧・収集できる環境を構築する必要があります。
デジタル化する対象物には、有形・無形の文化財が含まれます。
▼デジタル化の対象となる文化財
対象となる文化財 |
例 |
有形文化財 |
|
無形文化財 |
|
これらの文化財をデジタル化する方法には、以下が挙げられます。
▼文化財をデジタル化する方法
方法 |
対象物 |
デジタルカメラによる撮影 |
|
スキャナーによる撮影 |
平面の資料や作品 など |
また、文化財をデジタル化したあとは、メタデータの作成とデジタルアーカイブのシステムを構築する必要があります。
システムの構築は、独自開発する方法のほかに既存のプラットフォームを使用することも可能です。組織内での構築が難しい場合には、専門会社に依頼する選択肢もあります。
なお、デジタルアーカイブを構築する詳しい手順についてはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
文化財のデジタルアーカイブ化を実現した事例
ここでは、文化財のデジタルアーカイブ化によって資料や作品の情報を公開している事例を2つ紹介します。
あきる野市さまの事例|一般公開
あきる野市では、市の情報拠点となる中央図書館が行う情報提供の一つとして、多くの人に市の歴史・文化を知ってもらうことを目的に、デジタルアーカイブ化に取り組んでいます。
あきる野市にゆかりのある人々の写真や貴重文書、新聞記事など、あきる野市に関する“歴史・ひと・情報”を収集・保存して一般に公開しています。
公益財団法人 渋沢栄一記念財団さまの事例|一般公開
公益財団法人 渋沢栄一記念財団さまでは、永続的な史料の保存と情報の利活用を目的に、財団刊行物のマイクロフィルム化・デジタル化を推進しています。
渋沢栄一や実業史に関する資料・情報をデジタル化して、機関内のデータベース、ビジネスアーカイブズなどを運用することで、約130年超分の機関誌の再調査ができるようになりました。
まとめ
この記事では、文化財のデジタルアーカイブ化について以下の内容を解説しました。
- 文化財のデジタルアーカイブ化によってもたらされるメリット
- 文化財をデジタルアーカイブ化する方法
- 文化財のデジタルアーカイブ化を実現した事例
文化財をデジタルアーカイブ化すると、展示場所やスペースの制限なく、地域を超えて貴重な知的資産を閲覧・利用できるようになります。そのほか、現物の破損・劣化を抑制したり、追加情報を付与して情報価値を高めたりするメリットも期待できます。
デジタルアーカイブ化するには、モノや紙媒体の資料・作品をデジタル化してインターネット上で蓄積・保存・閲覧・収集できるシステムを構築する必要があります。組織内での構築が難しい場合には、デジアカまでご相談ください。
『デジアカ』では、貴重な文化財のデジタル化やデジタルアーカイブの構築をワンストップでサポートいたします。利用者が検索・閲覧しやすい機能や文化財の種類に応じたシステムを提案いたします。
詳しくは、こちらの資料をご覧ください。