資料のデジタル化マニュアル作成方法
資料をデジタル化したいと考えた時、
内部の人材や機材を使って内製にするか、
外部の専門業者を使って外注にするかの選択肢があります。
もし内製でデジタル化を進める場合、
デジタル画像にバラつきが生じないよう、手順を標準化しなければなりません。
今回は資料デジタル化のマニュアル作成方法についてご紹介します。
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内製と外注のどちらにするか?
資料のデジタル化を進める際、
冒頭にお伝えしたように内製と外注という選択肢があります。
どちらで進めるかの見極めは難しいと思いますが、
内製で進められる条件は、主に次の2つが考えられます。
・資料の量がそれほど多くない
・対象資料の劣化が進んでいない
まず資料の量についてですが、
量が多ければ当然、必要となる人数と機材が多く必要になります。
人手不足が進む中、
特に人的資源の確保については、どの組織も苦労していることと思います。
一方資料の量が多くなければ、
限られた資源でデジタル化を進めることができるため、
内製で進めることも可能になります。
また、資料の劣化が進んでいる場合、
資料の破損を避けるため、
非接触型のスキャナなど、専門的で高価な機材が必要になります。
内部でそうした機材を購入し、
それを使いこなせる人材を育成するのは困難なため、
デジタル化対象資料が劣化している場合は、外注を選択するとよいでしょう。
劣化がそれほど進んでおらず、
普通に取り扱えば破損等の可能性が低い場合は、内製で進めることが可能になります。
以上のような条件がそろって内製で進める場合、
デジタル化のマニュアル作成に着手します。
マニュアルのサンプルイメージ
資料取扱いに関する注意事項をマニュアルに示す
デジタルアーカイブの対象となる資料は、
複製物のないオリジナルであることが多いため、
とても貴重であることが多くあります。
汚損や破損が生じないよう、
慎重に取り扱うことが求められます。
そうした意識が定着するよう、
資料の取り扱いに関する注意事項をきちんとマニュアルに定めます。
例えば汚損を避けるため、資料の周りにボールペンなどのインクのある筆記用具を使用せず、
シャープペンシルを使用すること、
また破損をさけるため、資料の近くにはさみなどの刃物やテープなどを置かないことなどです。
また最も大事なのは、
万が一破損などの事故が生じた場合の対応です。
この場合は必ず監督者などしかるべきところに報告するようマニュアル内で義務付けるようにしましょう。
資料の取り扱いに関する参考資料は、
こちらからダウンロードしてみてください。
マニュアルは工程ごとに作成する
マニュアルは作業工程ごとに記述していきます。
1.スキャニング前の準備作業
安全かつ効率よくスキャニングができるよう、前準備をします。
しわを伸ばしたりステープルを外すなどの作業の方法をマニュアルに示します。
資料に付箋やステープルなどがあると資料やスキャナの破損につながるので、
マニュアル内での注意喚起が必要です。
資料の綴じ部分に文字が隠れていないかについてもチェックします。
2.スキャニング
スキャナは資料の形状や劣化状況などによってふさわしいものが異なりますが、
貴重資料のデジタル化におけるスキャナは多くの場合、
下の写真のようなブックスキャナと呼ばれるスキャナを使用します。
スキャニングをする面を上向きにして、
ページをめくりながら進めることができるため、
画像の品質が安定し、作業も効率的です。
資料を折ってしまったりするリスクも減少します。
しかしブックスキャナは高額なものが多いので、
デジタル化の点数が少ない場合は、
下の写真のようなフラットベッドスキャナを使用するとよいでしょう。
使用するスキャナが決まったら、
解像度などを設定してスキャニングを実施することになります。
スキャナへの設定方法や、
資料をスキャナに置いてスキャニングするまでの手順などについてマニュアルに示します。
マニュアルは文字をなるべく多用せずに写真を中心とした内容を掲載し、
わかりやすく読み手のストレスが軽減できるように心がけるとよいでしょう。
3.編集作業
必要に応じて、スキャニングによって得られたが画像を編集することがあります。
例えば画像フォーマットをPDFやJPEGなどに変換、圧縮する作業や、
フォルダ名・ファイル名などを付与する作業です。
最適な画像フォーマットは、
資料の特性や用途によって異なります。
これに関連する情報はこちらをご参照ください。
フォルダ名やファイル名の付与ルールもマニュアルに示しておくとよいでしょう。
また全文検索ができるようにOCR処理をする場合も、同様にここで示しておきます。
OCR処理はそのかけ方によって、
テキスト情報の認識率は異なります。
OCRのかけ方には、
全文に対して自動でかけるやり方と、
OCRをかける範囲を手動で指定してかけるやり方があります。
手動は認識率が高まりますが、
大きな手間がかかるので注意が必要です。
対象資料や指定箇所を絞り込むことがポイントです。
OCR処理の手順やこうした留意点などについて、マニュアルに示しましょう。
OCRによるテキスト化の事例がこちらにあるのでご参照ください。
東京海上日動火災保険株式会社 図書史料室様
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デジアカ
4.メタデータの入力
スキャニングによって作成したデジタル画像と紐づくメタデータの作成方法について、
マニュアルに記載します。
メタデータは目録的な役割を果たすもので、
デジタル化したイメージデータの管理に役立ちます。
フォルダ名やファイル名だけで資料の内容を特定できることもありますが、
データの量が増えるにつれてそれでは不十分になるので、
メタデータの作成は必要です。
マニュアルには、入力するメタデータ項目を示します。
メタデータの作成や項目に関する記事は、こちらをご参照ください。
また、文字コードは特殊なものを使用すると、
他のシステムとの連携などができなくなる可能性があるので、
標準的な規格のものを採用しましょう。
メタデータの入力作業自体に特別なスキルは必要ありませんが、
「キーワード」や「説明・要約」などは、資料に精通した人しか入力することはできないので、
マニュアルには、資料を見れば誰でも判断できる項目についての入力手順を示すとよいでしょう。
メタデータの作成をせずに溜め込んでしまうと、
後で多くの手間や費用がかかってしまいます。
コンスタントに作成することもマニュアルに示しておきましょう。
5.検査
これまで作成した画像データやメタデータの検査について、
マニュアルに記載します。
画像データの検査は、
資料と画像データを照合しながら、
入力漏れがないかどうか確認をしながら行います。
マニュアルには検査の項目も示します。
検査項目は下記のようなものになります。
・文字及び絵図等の判読性(綴じ部分などで文字が隠れてしまっていないか等)
・文字の向き
・画像欠け
・画像傾き
メタデータの検査も、画像データと照合しながら進めます。
特に資料のタイトルに誤入力があると、
検索にヒットしないといった問題が発生するので注意が必要です。
画像データもメタデータも「人の手」によって作成されるものなので、
何らかのミスがあるという前提で検査を行うとよいでしょう。
まとめ
・デジタル化の内製か外注かの選択は、「劣化の進行度」と「資料の量」で判断する。
・デジタル化のマニュアルは工程ごとに記載する。
・利用者がわかりやすいよう、写真やイラストを中心とした内容にする。
今回はデジタル化のマニュアル作成についてご紹介しました。
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