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新聞マイクロフィルムのデジタル化について

皆さんは新聞マイクロフィルムをご存知でしょうか。
図書館などで古い新聞を調べたことがある方は、知っている方が多くいると思われます。
今回は、新聞マイクロフィルムを利用した画像データ化について、メリットなどを取り上げてみました。


目次[非表示]

  1. 新聞マイクロフィルムとは
  2. 新聞紙面のデジタル化
  3. 新聞マイクロフィルムからの画像データ化
    1. メリット
    2. テキストデータ
    3. 利用方法
    4. 画像データの品質確認
    5. 著作権
  4. まとめ


新聞マイクロフィルムとは

35㎜幅のロール状のマイクロフィルムに、紙面を1枚づつ撮影する手法で、バックナンバーとして作製されています。
1か月分の紙面が、35㎜マイクロフィルムで1~2リール程度に収められています。
多くの新聞社では、創刊から現在までの紙面をマイクロ版として作製し、ネガフィルムを保存用として保管しています。
またネガから複製フィルムを作ることで、各図書館でのバックナンバーとしても利用されてきました。
利用方法は、発行年月日で該当のフィルムを出して、専用の機器に装填して画像を表示させます。
フィルムを該当日付まで回しもってきたら、記事を見て探し出すといった手順です。
新聞マイクロフィルム複製は、図書館における紙面保管スペースや利用による紙面破損の問題を解決してくれました。


【図1 新聞マイクロフィルムサンプル版】


  マイクロフィルムとは何ですか? マイクロフィルムの特徴とあわせて、フィルムの劣化や正しい保存方法をご紹介します。 デジアカ


新聞紙面のデジタル化

パソコンやネットワークの普及に伴い、新聞バックナンバーについてもデジタル化が検討されるようになりました。
デジタル化の手法としては、紙面を画像データ化して、閲覧することが選ばれました。
画像データ化とは、資料をスキャナーにかけることで画像ファイル(イメージデータ)を作製することです。
古い図書や雑誌のバックナンバーも、多くが画像データ化されてインターネットなどで公開されています。
しかし新聞は図書や雑誌と違いサイズが大きいため、取り扱いが難しい資料です。
さらに製本された状態でスキャンすると、のど元の文字が隠れてしまったり、しわが寄り歪んだりしてしまいます。
そこで労力や時間を抑えて、画像データ化を実現するために、新聞マイクロフィルムが利用されました。



新聞マイクロフィルムからの画像データ化

メリット

新聞マイクロフィルムから画像データ化するメリットは、以下のようなことが挙げられます。
・新聞紙面が整理された状態で、マイクロフィルムに撮影されて残っている。
このことは非常に大きなメリットです。
初めから紙面を準備することなく、基本マイクロフィルムの各コマの画像をスキャンすれば、画像データ化は終了です。
昔の新聞では、既に新聞マイクロフィルムでしか残っていない紙面もあります。
・保存用に残されている紙面に負荷がかからない。
直接紙面からスキャニングする場合は、製本されていれば解体を行うなど処置を施す必要があります。
古い紙面は紙質も悪く、丁寧に扱ったとしても、資料に負荷がかかり、破損してしまうリスクが伴います。
新聞マイクロフィルムは、貴重な保存用の資料がリスクに晒されることなく、画像データ化することを可能としました。
・半年から1年分程度の紙面を、一度に画像データ化することが可能。
専用マイクロフィルムスキャナーの進歩によって、高速に多くのコマを処理することが出来るようになりました。
画質も昔のスキャナーと比べると、サイズや解像度が同じであっても、より鮮明な画像ができるようになっています。


【図2 マイクロフィルム専用スキャナー】


以下のような場合は、直接紙面からスキャニングする必要があります。
・カラーの画像データが必要
・新聞マイクロフィルムに撮影がなっかた紙面ある
・撮影コマにピント不良などの問題があった
全体の数量に対して、発生する量はさほど多くはないかと思います。


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テキストデータ

画像データ化作業では、画像データに関連するテキストデータを作成する作業が少なからず発生します。
新聞の場合、刊行年月日は必ずテキスト化されていると言って良いでしょう。
テキストデータとして、作成される項目としては、以下が良く挙げられます。
・タイトル(題字)
・発行元(会社名)
・本版/地方版(地域名)
・刊行年月日
・刊行単位(朝刊/夕刊/附録/号外など)
・頁数
その他作業を実施することでできる、以下のようなテキストデータもできます。
・新聞マイクロフィルムのタイトル・リール番号
・作業時のコマ情報 ※必要なコマのみ


テキストデータは、該当画像を表示させるための、検索可能な条件設定にもなります。
より詳細な検索を希望する場合は、これらの情報のほかに追加して作成していきます。
例えば記事のタイトルや内容、キーワードなどで検索の要望があれば、それらをテキストデータ化することが必要です。
現在ではAI-OCR技術を使ったテキストデータ化を実施している新聞社もあり、全文検索の動向も注目されています。


利用方法

新聞社では、インターネットのデータベースサービスに画像を載せたり、光ディスク媒体で提供したりされています。
新聞マイクロフィルムの画像データ化は済ませてあり、社内外の問い合わせ対応に利用されている話も聞きます。
画像データ化が済めば、手元のパソコンで紙面が確認でき、プリンタに接続されていれば印刷も可能です。
マイクロフィルムの利用では、専用の機器が必要でしたが、画像データ化により利用されやすいものとなりました。


画像データの品質確認

新聞マイクロフィルムからの画像データ化は、述べてきたように大きなメリットをもたらします。
しかし出来上がる画像データの品質は、あらかじめ程度を確認しておくことも重要です。
撮影時の資料状態やフィルムの劣化状況などにより、画質がかわることがあります。
また撮影手法などで黒枠が残ったりする場合もありますので、事前に確認することをおすすめします。
作業を依頼する前に、画像データの品質については、サンプル等で確認しておきましょう。


著作権

デジタル化を検討する際は、著作権についても確認する必要があります。
著作権法は一部が改正され、令和5年法律第33号「著作権法の一部を改正する法律」として令和5年5月26日に公布されました。
詳細は以下文化庁のホームページを参照ください。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/r05_hokaisei/

新聞マイクロフィルムについては、発行元の新聞社にお問い合わせください。



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まとめ

新聞マイクロフィルムは、パソコンやネットワークが整っていなかった時代から、保存や活用媒体として利用され続けています。
過去の古い新聞紙面の画像データ化は、作業効率や費用などを考慮して、新聞マイクロフィルムが利用されています。
作業を実施することで、関連するテキストデータも整備されるので、簡便に利用ができると好評です。
図書館へのバックナンバー提供も、いまでは新聞マイクロフィルムからデータベースなどのサービス提供に代わってきています。
作業を検討される際は、画像の品質や著作権など、事前に確認することも重要です。
ニチマイではマイクロフィルムの劣化調査から、デジタル化作業、公開までご助言やサービス提供が可能です。
ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。


参考資料
文化庁ホームページ:令和5年通常国会 著作権法改正について





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