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失われる選択肢、マイクロフィルム感材供給終了でできなくなること

マイクロフィルム感光材料(感材)の供給終了がメーカーである富士フイルム株式会社より発表されたことにより、マイクロフィルム感材を必要とする作業が数年後にはできなくなることとなりました。

https://www.fujifilm.com/jp/ja/business/data-management/microfilm(富士フイルム株式会社ホームページより該当ページ)

今まで継続的にマイクロフィルムを作製してきた方や、新規にマイクロフィルム作製を検討していた方、既存のマイクロフィルムを数多く保有している方々などにさまざまな影響が及ぶことになります。

この記事では、マイクロフィルム感材が手に入らなくなることによってできなくなることについてご紹介します。


目次[非表示]

  1. 新規マイクロフィルム作製ができなくなる
  2. 既存マイクロフィルムの複製ができなくなる
  3. 閲覧用マイクロフィルムの作製や購入ができなくなる
  4. マイクロフィルムからのデジタル化ができなくなることも
  5. まとめ
    1. ウェビナー開催『マイクロフィルム 今、やるべきこと』

新規マイクロフィルム作製ができなくなる

まず、マイクロフィルムの感材が手に入らなくなることにより、新規のマイクロフィルム作製(撮影)ができなくなります。

長期間(期待寿命500年)安定して保存できることや改ざんがほぼ不可能という原本性の高さから、紙資料の長期保存媒体として長年使用されてきた実績があるマイクロフィルムですが、感材が無くなることで新規作製ができなくなります。

マイクロフィルムの代わりとなる安定した長期媒体は今のところ見当たらないため、長期保存が必要となる紙資料などがある場合は感材が手に入るうちに早急に作業計画を立てマイクロフィルム化を実行する必要があります。

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既存マイクロフィルムの複製ができなくなる

すでにマイクロフィルムを所有されている方にとっても、マイクロフィルム感材が手に入らなくなることで今後の長期保存に影響がでてくる可能性があります。

マイクロフィルムの劣化については今までも多くの記事でご紹介してきましたが、TACベースフィルムの場合は経年劣化によるビネガーシンドロームによって変形や酢酸臭などの劣化症状が発生し、利用や保存ができなくなる可能性があります。

PETベースフィルムへの複製を作ることによりビネガーシンドロームの懸念は解消されますが、感材が無くなることによりPETベースフィルムへの複製を行うこともできなくなりますので、感材が手に入るうちに複製対象フィルムの選定などを早急に行い複製作業を実行する必要があります。


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閲覧用マイクロフィルムの作製や購入ができなくなる

図書館や資料館などでは現在もマイクロフィルムリーダープリンターなどで閲覧用にマイクロフィルムを利用しているところも数多くあります。

閲覧用マイクロフィルムはポジフィルムであることが多く、閲覧の際にリーダーなどの閲覧機器にフィルムをかけることにより摩耗や傷などが付くことが多いため、今後も継続して閲覧利用を続けていく場合はマスターフィルムより再度複製を行う必要もでてきます。

また、各新聞社発行の新聞マイクロフィルムや各書店が発行している貴重書マイクロフィルムなどの出版マイクロフィルムを購入して利用している図書館や資料館なども多くありますが、感材供給終了に伴いマイクロフィルム出版についても今後販売終了時期が設定され購入できなくなる時が訪れます。

閲覧用マイクロフィルムの再作製や購入についても、必要な場合は手に入るうちに早急に検討を行う必要があります。


当社ホームページにおけるマイクロフィルム出版物のページ↓

  マイクロフィルム出版物(新聞マイクロフィルムなど) 国内の新聞マイクロフィルムのほか、日本移民関係資料、官報などの各種マイクロフィルム出版物を取り扱っております。 株式会社ニチマイ


マイクロフィルムからのデジタル化ができなくなることも

マイクロフィルムからのデジタル化作業について、マイクロフィルム感材が無くなっても既存のマイクロフィルムから直接スキャナーにかけるだけなので急がなくても大丈夫では?と思う方もいらっしゃるかもしれません。

劣化していないマイクロフィルムであれば問題ありませんが、変形などの劣化症状があるTACベースフィルムの場合は、極度の変形によりそのままスキャナーにかけられない場合や、スキャナーにかけられたとしても多少でも変形があるフィルムはピンボケなどの不良画像となってしまう可能性があります。

そのため、既存のマイクロフィルムからのデジタル化を検討している場合、TACベースフィルムかつ劣化しているフィルムである場合はPETベースフィルムへの複製を作ってからのデジタル化作業を行う必要がでてきますので、早急にフィルムの状態確認を行って、複製が必要である場合は感材が手に入るうちに複製作業を実行に移す必要がでてきます。

デジタル化を行うことにより閲覧性や検索性の飛躍的な向上が期待できるため、マイクロフィルム資料の利活用をデジタル化によって実現するためにも早めに検討を行いましょう。


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まとめ

この記事ではマイクロフィルム感材供給終了によってできなくなることについてご紹介いたしました。

不明点ありましたらいつでも当社までお問い合わせください。

また、下記ウェビナーも予定していますので、是非お申し込みください。

ウェビナー開催『マイクロフィルム 今、やるべきこと』

日 程:2025年5月28日(水)15:00~15:30
    Zoomウェビナー(LIVEにて開催)
再放送:2025年5月29日(木)~6月10日(火)
    YouTubeにて録画再放送
※いずれも要お申し込み制になります。
 お申し込み後、視聴用URLをお送りします。


★ウェビナーの詳細およびお申込みはこちらから↓

  【ウェビナー】マイクロフィルム  今、やるべきこと マイクロフィルム感材供給終了に伴い、今まで作製してきた、もしくは所有してきたマイクロフィルムの保管や利活用について今一度考えてみませんか? デジアカ


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Kudou
Kudou
ニチマイの営業担当です。デジアカサイトでは少しでもみなさまのお役に立てるような情報を発信していきたいと思っています。デジタルアーカイブの知識をこれからも日々勉強してまいります。