
デジタルデータを長期保存するために欠かせないマイグレーションとは?
マイクロフィルムの感材が供給終了することとなり、長期保存のためにマイクロフィルム化していた貴重資料なども、今後はデジタル化に切り替えていく必要が出てきます。
ただ、デジタル化した貴重資料などのデータを長期保存するための記録媒体やフォーマットは現状確立されているとは言えず、保存しているデジタルデータをいざ開こうとするとファイルが壊れていたり、古い記録媒体などは再生できる機器がなかったりすることもあります。
デジタルは技術の進化とともに記録媒体やファイル形式は陳腐化し、5年後、10年後にはファイルが開けなくなる可能性もあります。
こうした問題に対応するために欠かせないのがデータのマイグレーションです。
マイグレーションとは?
データのマイグレーションとは、古いフォーマットや記録媒体を新しいフォーマットや記録媒体に変換することを言い、特に再生機器などが手に入らなくなる場合は必須の作業となります。
また、同種の新しい記録媒体へデータ移行することもマイグレーションの一つであり、記録媒体の寿命を意識して計画的に実施することが求められます。
≪アーカイブ分野におけるマイグレーションの例≫
1.古いCDやDVDから、HDDやSSDなどの記録媒体、またはクラウドへデータを移す
2.数年前に保存したHDD内のデータを、新しいHDDへ移行する
3.標準化、規格化され、広く一般に普及しているオープンフォーマットに変換する
4.書誌情報やメタデータなども整理し直し、利用しやすい状態にする
参考記事「デジタル記録媒体の保存について考える」はこちら↓↓
マイグレーションの進め方
マイグレーションは一度きりで終わることはなく、デジタルデータを保存していく間はずっと継続して行っていく必要があります。
≪マイグレーションの進め方≫
①保存対象ファイルの洗い出し
劣化しやすい記録媒体や、古いファイル形式などを優先的にチェック。
②データ変換・移行
標準化、規格化され、広く一般に普及しているオープンフォーマットへの変換、新しい記録媒体 やクラウドへ移行。
書誌情報やメタデータの見直しも併せて行う。
③整合性の確認
ハッシュ値などを使い、データが正しく移行されたかを検証
④記録を残す
次のマイグレーションのためにも変換や移行についての記録を残す
参考記事「画像ファイルフォーマットでTIFFをおすすめする理由について」はこちら↓↓
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マイグレーションの課題
定期的にマイグレーションを行わなければならないことは理解しているけれど、実際にマイグレーションを行う際には様々な課題に直面することもあります。
≪マイグレーションで直面する課題≫
1.再生機器が手に入らない
→早めに読み取り機器を確保することが重要ですが、入手できなくてもたいていの機器は専門業者が保有していますので外部委託でのマイグレーションを検討しましょう。
2.データが壊れてしまっていた
→手元の読み取り機器でファイルが開けなくてもデータ自体は復元できる可能性がありますので慌てずに専門業者へ相談しましょう。
3.人員や予算がない
→マイグレーションは継続的な取り組みが必要となります。あらかじめ長期的な予算確保・人員体制の整備を進めておきましょう。
参考記事「計画的なデジタルアーカイブ実現のために必要なこと」はこちら↓↓
まとめ
マイクロフィルムの保存では必要のなかったマイグレーションという作業ですが、デジタルデータを長期保存していく場合は必須の作業となります。
技術の進歩により、今後マイグレーションの必要がない確立した長期保存フォーマットや記録媒体が出てくる可能性もゼロではありませんが、現状ではそのような確立したものはあるとは言えませんのでマイグレーションを理解し実行していく必要があります。
当社でもデータのマイグレーション作業を承ることができますので、ぜひご相談ください。
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