
これからの紙資料(文書)の長期保存について考える。
はじめに、ここで話しているマイクロフィルムやデジタルデータとは、紙資料をそれらの媒体や形式に変換したものを指しています。
またデジタルデータについては、ボーンデジタルと呼ばれる作成時から電子的に保存されている文書についても、触れさせていただいています。
いままでに作成されてきた紙資料は、利活用や保存の必要性において、マイクロフィルム化が一つの選択肢として存在していました。
マイクロフィルムの作製が終わりを迎える中で、特にその優れた保存性に注目し、今後の長期保存について考えてみたいと思います。
マイクロフィルムについて
マイクロフィルムは、令和7年12月にフィルム感光材料の最終受注が終了いたしました。
これによって、今後マイクロフィルムの作製については、基本対応できないことになります。
国内においては、戦後直後から感材、機器の開発が行われ、昭和26年に国産初のマイクロフィルムが販売されました。
海外製のマイクロフィルムは以前からありましたが、国産化が進むにつれて、マイクロ写真事業が国内で広まっていきました。
「新聞資料のマイクロ化」や「戸籍除籍副本のマイクロ化」などが、利用や保存の方法として採用されたことも、普及に寄与しています。
新聞資料のマイクロ化は、長期保存の手段として、各新聞社や図書館などで現在に至るまで利用され続けています。
新たにマイクロフィルムを作成することはできなくなりますが、現在あるマイクロフィルムは長期保存の手段として、こらからも有効です。
これまでと同様に、定期的な点検や確認を行い、保管環境を整えて長期保存を続けていきましょう。
デジタルデータについて
20世紀の後半からデジタル時代と呼ばれるようになりました。
コンピューター技術の進歩に伴い、パソコンやインターネットが広まり、デジタル技術が日常的に使われる時代となりました。
身近に感じられるようになったのは、ワープロが普及し始めてキーボードを使うようになってからかもしれません。
現在では、ワープロ専用機の生産は終了しており、パソコン用のワープロソフトとして広く使われています。
そのようなデジタル時代の初期に作成されたボーンデジタルのデータは、今でも使用可能な状態でしょうか。
フロッピーディスクを認識できない、認識できてもファイルが開かないなどの利用環境が整っていない場合が増えてきています。
紙資料やマイクロフィルムをスキャンして作製した画像データも、ファイルフォーマットによっては同様のことが言えます。
画像データでは長期的・安定的に利用できることが予想される、標準的なフォーマットを選択してデジタルデータを作製することが望まれています。
まずは、これらのデジタルデータが現在の環境で利用可能か確認することが重要です。
デジタルデータもマイクロフィルムと同じように、定期的な点検や確認が必要になります。
過去に作成したデジタルデータが、すぐに利用できる状態にあるか確認してみましょう。
デジタルデータの記録媒体について
デジタル化は、マイクロフィルム化とは異なり、記録媒体を特定していません。
マイクロフィルム化は媒体自体を意味しますが、デジタル化の場合はデータを保存するための記録媒体を選択する必要があります。
デジタルデータの保存媒体は、より大容量のものへと何度も移り変わってきました。
フロッピーディスク(FD)、CD、MO、DVD、ブルーレイディスク(BD)、ハードディスク(HD)、LTO、クラウドなどです。
今後もさらに大容量の媒体が登場し、これまでと同様に切り替えが進んでいくと考えられます。
デジタルデータは、前述したように、現時点の環境で活用できるかどうかが重要だと考えています。
現在の環境で使いづらくなった記録媒体は、マイグレーションを行い、その時点で使いやすい媒体へ移行しましょう。
使用環境や保存するデータ容量に応じて、無理のない記録媒体を選んで保存することが最も重要です。
今後の長期保存について
長期保存を目的としたマイクロフィルムへの媒体変換は、生産終了に伴い選択肢から外れることになります。
所有しているマイクロフィルムについては、今後も長期保存の手段として有効です。
デジタルデータの長期保存は、現時点では以下に挙げた対策を検討・強化することが有効であると考えています。
エミレーション
新しい環境で、エミュレータと呼ばれるアプリを使って古いオリジナルのデータを擬似的に再現できるようにすることです。
デジタルデータの長期保存において、重要な手段として考えられています。
マイグレーション
定期的なデータ移行を意味し、同じ種類または異なる種類の新しい記録媒体への移行や、新しいフォーマットへの変換を行います。
マイグレーションは事前に計画を立てて、定期的に実施することが効果的とされています。
バックアップ「3-2-1ルール」
データの消失を防ぐためのバックアップの基本的な考え方を説明しています。
3つのファイル(オリジナルと2つのコピーを保存)、2つのメディア(異なる記録媒体に保存)、1つの別の場所(離れた場所に保管)という原則です。
故障やウイルス、人為的なミス、災害などからデジタルデータを守るために、セキュリティ対策を強化することが重要です。
これらの運用手法を確立させて実行していくことが、長期保存に繋がると考えます。
まとめ
現時点では、デジタルデータを長期保存するのに最適なファイル形式や記録媒体を特定するのは困難です。
デジタルデータの長期保存では、定期的なデータ移行やバックアップを強化することを検討しましょう。
弊社では、マイクロフィルムやデジタルデータの保存に関するご相談も承っております。
お困りごとなどありましたら、お気軽にご相談いただければ幸いです。
参考資料
総務省 震災関連デジタルアーカイブ構築・運用のためのガイドライン
第4章 デジタルデータの長期保存・利用について
https://www.soumu.go.jp/main_content/000225130.pdf
国立国会図書館 よくあるご質問:電子情報の保存
https://www.ndl.go.jp/help/preservation2#anchor07
【ホワイトペーパー】
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